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無事に仕事を終えました。

 城に戻ってメイドさんに伝言を頼むと、私はラギと一緒にキースたちがやって来るのを待った。


 キースたちが部屋に入って来ると、私はさっきの出来事を彼らに話した。


「それじゃあ、今日の仕事は中止したほうがいいか?」


 キースにそう訊かれたけど、私は大丈夫だと言って再び出かけることにした。


「本当に大丈夫か?」


 キースが不安顔で訊いてくる。

 私はライから受け取ったローブを着ながら、大丈夫と答えた。


「ラギには隠蔽の術をかけたし、こうしてフードを被ればさっきの人にもバレないでしょ」

「けど、またラギが変身しちまったらどうするんだよ」

「……その時は逃げるしかないけど……」


 キースと私がそんなやり取りをしていると、ライが「とりあえず行ってみて、駄目だったらその時はその時だろ」と言った。

 それでキースも納得したのか、それ以上は反対しなかった。


 私は魔狐のラギを肩に乗せて、キースたちと共に城から出た。

 そして彼らが請けた角猪退治の依頼を完遂するべく、王都から出て森へと向かった。



 その日、私たちは何事もなく依頼をこなすことができた。

 キースは短剣を、ライは長剣を持って角猪に立ち向かい、危ない時だけ私がフォローして無事に仕事を成し遂げた。

 そしてせっかくだからと角猪の肉は私たちが貰うことにして持ち帰り、報酬を受け取るとキースたちと別れて帰路についた。


 城に戻るとさっそく王太子がやって来た。

 そして私が何事もなく仕事を終えたと報告すると、なぜか王太子は今朝の一件を知っていて、そのことで小言を言い始めた。


「だから私が言っただろう。ラギには外での生活は無理だよ」

「今朝のことは、私がもっと気をつけていればよかったんです」

「これからも同じようなことが起こると思うよ」

「これからはもっと気をつけますから、大丈夫です」


 私は口出し無用とばかりに言い切った。

 そして、先程から思っていた疑問を王太子にぶつけてみた。


「王太子様は、私たちに監視をつけているのですか?」

「……何かあった時のためのものだよ」

「監視されているなんて不愉快です!」


 そう言うと、王太子は「すまない」と謝った。


「……謝らなくていいですから、監視は外して下さい」

「それはできない」

「……なぜですか?」

「君たちの動向は、国を左右するかもしれないからね。君は嫌だろうけど、我慢してもらうしかない」

「それなら出て行くと言っても?」

「それは仕方ないね」


 そう言って王太子は寂しげに笑った。

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