ギルドに行きました。
村を出る時、用心のために男装した。
中性的な容姿の私は、男物の服を着ると少年のように見えるはずだ。
私は荷馬車に乗せてもらい、一番近くの街を目指した。
ドラゴンになって飛んで行けばすぐなのだが、どこでバレるか分からない。
私はもうドラゴンの姿には戻らないつもりだった。
街に着くと、乗せてくれたおじさんにお礼を言って別れた。
そして冒険者になるにはどこに行ったらいいのか、道行く人に尋ねた。
「君が冒険者になるのかい?」
道を訊かれたおじさんは、心配そうに私を見た。
冒険者といえば腕に覚えのある者がなる職業だ。私のような少年がなれるとは思えないのだろう。
それでも、冒険者ギルドへの行き方を親切に教えてくれた。
冒険者ギルドに入ると、中にいた人たちが一斉にこっちを見た。
皆の視線を感じながら、私は受付らしき場所へと向かった。
「登録したいのですが」
私が言うと、受付のお姉さんは驚いた顔をしたが、すぐに営業スマイルを浮かべて言った。
「では、こちらの用紙に記入して下さい」
私はその用紙をざっと見てから記入した。
武器と得意なことの欄には“魔術”と書いた。
私は村長の家にあった初級の魔術書を読んでいたので、一通りの魔術は使えるようになっていた。
初級といっても、ドラゴンである私の使う魔術は普通の人間とは桁違いの威力だ。立派な武器になる。
「魔術師なのですか?」
疑わしそうに、お姉さんが言った。
(まあ、ただの少年が魔術師とか言っても信じられないよね)
性別の欄はないので、女だとはバレていない。
バレたら余計に怪しまれるかもしれない。登録をお断りされる可能性もある。
「ちゃんと魔術を使えます。何なら、試してみてもいいですよ」
そう言ったら、本当に試すことになった。