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キースとライに会いました。

(ラギにキスを教えるんじゃなかった……)


 あれからラギはすぐにキスをしてくるようになってしまった。


「ラギ! こういうことはそんなに頻繁にするもんじゃないの!」


 私がそう言っても、ラギにはよく分からないようだ。

 二人きりの時以外はダメ! というのは、なんとか分かってもらえたようだけど……。

 メイドさんたちの前でされた時はすごく恥ずかしかった。


(キス以上のことは、絶対に教えないようにしよう)


 私はそう決意した。

 そしてラギには何としても分かってもらおうと、今日も同じことを言い聞かせるのだった。




 私とラギが王城でお世話になって三月ほどが経った頃、キースとライもやっと王都に到着した。


「キース、ライ、久しぶり!」


 私がそう言うと、キースが訝しげにラギを見た。


「その男、なんであんたにくっついてるんだ?」

「この人はラギだよ」

「……ラギ? って、あのドラゴンだよな?」

「そうだよ。今はこの姿に変身してるの」


 そう言うと、キースとライはまじまじとラギの姿を見て私に言った。


「おまえ面食いだったんだな」


 キースがそう言い、ライは「どうせなら、美人のお姉さんに変身すればいいのに」と言った。


 私はその言葉に苦笑した。


「ラギは私の恋人になったから、男じゃないと困るよ」

 そう言うと、ライが私をまじまじと見て「おまえ、男が好きだったのか!?」と言った。

 それで私は、まだライたちに女だと打ち明けていないことに気付いて言おうとしたが、それより先にキースが言った。


「ハルカは女だよ」

「は!?」


 ライが信じられないというように私を見た。

 特に胸の辺りを見られて、私は非常に居心地悪い思いをした。


「胸のない女もいるんだよ」


 キースがライにそう言った。


(胸がなくて悪かったな!)


 私が一人で怒っていると、ライが「キースは前から知ってたのか?」と訊いていた。


「ああ。でもハルカに聞いたわけじゃないぜ」

「じゃあ何で分かったんだ?」

「そりゃあ、男と女は違うからな。見てりゃ分かるよ」


 当然のことのようにキースが言う。


 ライは脳筋だから気付かなくて当たり前だけど、ギルドのほかの人たちは気付いていたのかもしれないと私は思った。

 そして、私の苦労は何だったんだと虚しくなった。

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