ラギの望みを聞きました。
夜はラギに抱き締められて眠る。
美形の姿に最初は照れたがすぐに慣れた。
なによりラギの外見は私が作ったので、二次元が三次元に現われたようなもので現実味がなかったのだ。
だから理想の美形を心行くまで堪能できた。
夢の中ではラギが時々乱入してくるけど、追いかけられることは少なくなった。
たぶん、深く眠る時間が増えたのだろう。
ラギに追いかけられると情報収集がままならないので、それはとても都合がよかった。
そうして穏やかな日々が過ぎていったけれど、私には一つ気にかかっていることがあった。
それは、ラギが本当はどうしたいのか分からないことだ。
ラギは言葉を話せない。だから私がくみ取るしかないのだけれど……私にはラギが何を望んでいるのかはっきりと分からない。
私と一緒にいたいと思っているのは分かる。けれど、どこでどうやって暮らしていきたいのか、それがよく分からない。
困った私は王妃様に相談してみた。
「あら、そんなのはっきりしているじゃないの」
「王妃様には分かるんですか!?」
「分からないほうが不思議だわ」
そう言われたけど、私には分からないのだ。
そんな私に微笑んで、王妃様は言った。
「ラギはね、あなたと一緒にいたいだけなの」
「それは分かっているんですが……」
「あなたと一緒なら、どこでどんな暮らしをしようと構わないのじゃないかしら」
「……でも、ラギにも望みがあると思うんです」
私がそう言うと、王妃様は聞き分けのない子を見るような目で私を見た。
「だからね、ラギの望みはあなたと一緒にいること、ただそれだけなのではなくて?」
そう言われて、私はラギを見た。
……ラギは私と一緒にいることだけが望み。
本当にそうなのだろうか。
「疑うのなら、ラギに訊いてごらんなさい」
王妃様に言われて、私はラギに訊いてみた。
「ラギ、……私と一緒にいるだけでいいの?」
するとラギは、少し考えてから首を振った。
「あら! それだけでは嫌なのね?」
王妃様はそう言って、それからすぐに「分かったわ!」と声を弾ませた。
「ラギはハルカの恋人になりたいのね?」
「え?」
「ほら、ハルカ、ラギに訊いてごらんなさい」
王妃様に促されて、私はまたしてもラギに質問した。
「ラギ、私の……恋人になりたい?」
するとラギは大きくうなずいた。
「ほらね」
王妃様が嬉しそうにそう言った。
私はラギの答えに困惑しながら、今までのラギの態度はそういう意味だったのかと納得したのだった。