王太子と話し合いました。
部屋に戻ると、私たちは王太子とお茶をすることになった。
アリード王子も同席したがっていたけど、予定があるからと言って仕方なさそうに出て行った。
「それで、君たちはこれからも人間と共に暮らしていくつもりなのかい?」
王太子がそう訊いてきた。
私は「そのつもりです」と答えた。
「しかし、君はよくても、ラギは人間社会の中では暮らしていけないのではないのかな?」
「……これから色々教えます」
「君は誰に教わったんだい?」
「私は子供の頃に人間に拾われて、人間の村で育ちました。そこで色々なことを学びました」
「……親は?」
「親のドラゴンは、私が卵から生まれてすぐに帰って来なくなりました」
「そうか……そのドラゴンに何かあったのかな」
王太子はそう言ったけど、私は捨てられたのだと思っている。
「人間として暮らすのなら、言葉が分からなくては困るだろう」
「……そうですね」
「よければ教師をつけようと思うのだが……」
王太子がそう言ってくれたが、ラギは私以外は言葉が通じないし、私が通訳しても人間の言うことは聞かないだろう。
「せっかくですが、ラギが私以外の言うことを聞くとは思えないので」
「試すくらいはしてみたらどうだい?」
「でも……」
「とにかく試してみて、駄目ならまた何か考えればいい」
そう言われては断りにくい。
私はとりあえず試してみることを了承した。
教師は年配の女性を手配してくれるということになった。
男性だとラギが嫉妬するし、若い女性だとラギに恋愛感情を持つかもしれないからという理由だった。
私は、あんまり厳しい人じゃないといいなあと思っていた。
そして現われたのは……なんと王妃様だった。