ラギが美形になりました。
その後、私が何を言ってもラギはアリード王子の姿のままだった。
しかしこのままではマズイ。
私は二人きりになってから、ラギに「私、髪は黒いほうが好きだな〜」と言った。
するとラギの髪が黒色に変化した。
私は続けて言った。
「目は青色のほうがいいな」
しかしラギは“青色”というのがどんな色か分からないようで首を傾げている。
「ドラゴンになった時の目の色だよ」
そう言うとラギは納得したようで、紫の瞳が青色に変わった。
「それから、目はもう少し切れ長でー」
と言いながら、私はラギの目を細くするように少し引っ張ってみた。
するとまたラギの目が私の言った通りに変化した。
私は内心、上手くいって良かったと思いながら、あとは……と呟いた。
「背は、もう少し低いほうがいいかな」
するとラギの身長が少し縮んだ。
(なんかキャラ作りみたいで面白い)
私はその後も、あーでもないこーでもないと言ってラギの姿を少しずつ変えていった。
そして出来上がったのは、目元涼しくやや細身の美青年だった……。
アリード王子とは別人になったけど、ちょっと美形すぎるかなあと思いながら、でもせっかく私の好みに作ったのに変えたくないという気持ちもあって、私はラギにその姿でいるように言った。
「ラギ、人間に変身する時はこの姿にしてね」
そう言うと、ラギはうなずいて私に頬擦りしてきた。
私は理想の恋人ができたような気分になった。
そして今更ながら、ラギに訊いた。
「ねえ、もしかしてラギって男の子だったの?」
するとラギはうなずいた。
「そっか」
ラギが私そっくりに変身していたから、私はラギの性別を自分と同じだと思い込んでいた。
けれどラギが男の子だということは、もしかしたら私のことを女の子として好きなのかもしれない。
そう思ったけど、でもまだ三歳くらいだし、きっとお母さんみたいに思われているんだよね……と思い直した。
それはそれで、何かショックだけど。
美形になったラギはメイドさんたちに大人気だった。
メイドさんたちは以前と違ってラギに話しかけるようになった。
でもラギはメイドさんたちには無関心だし、私にベッタリだし……そのうち観賞用として眺めるだけになった。