異世界でした。
数年が経ち、その間に私はここが異世界だと知った。
この世界には魔法があり、全ての生物には魔力があるのだそうだ。
そして、ドラゴンだけじゃなく魔獣もいて、人間を襲う魔獣は討伐対象で、人間を襲わないドラゴンは聖獣として崇められているということが分かった。
それから、村の人たちは日本語がペラペラなわけではなく、この国の言葉が私に理解できるように翻訳されて聞こえているということも文字を見て分かった。
しかし、文字は翻訳されなかった。
これはドラゴン全てに共通することなのか、転生チートなのか、親ドラゴン以外に会ったことのない私には分からない。
けれど、それは知らなくてもいいことだ。
私は人間として生きていくと決めたのだから。
月日は流れ、私は15歳になった。
15歳は成人の年だ。
私は村を出て冒険者になることを決めた。
本当はずっとこの村にいたかった。
だけど、ドラゴンは何千年も生きると聞いて、このままここにいれば姿が変わらなくなった時にバレてしまうと思った。
出て行くのなら早いほうがいい。
私は街に働きに行くと言って、心配して反対するアデルとニータを振り切って村を出た。
もうここには帰って来ないと思うと、別れはとても悲しかった。
こんなに悲しくなるのならあの時拾われなければ良かったと思ったけど、村の皆に会えて良かったとも思った。
これからは誰とも深く付き合えず、一ヵ所にとどまることもできない。
それでも私は人間として生きたかった。