第二王子に会いました。
「誰だ?」
夢の中の人物は、私を見ると不思議そうに問いかけてきた。
「冒険者のハルカです」
「冒険者が何の用だ?」
王子(?)は訝しげに言った。
私は直球で訊いてみた。
「あなたはロゼスの第二王子ですか?」
「そうだが……」
やはり王太子の弟だった。
私が更に質問をしようとした時、ラギの夢が近付いてくるのを感じた。
そしてあっという間に、王子の夢の中にラギが乱入してきた。
どうやら二つの夢は繋がってしまったらしい。
私はラギに抱き付かれながら、王子と対面していた。
「双子か」
「いえ、この子はドラゴンです」
(私もだけどね)
「ドラゴン?」
王子が不思議そうに言った。そして何か思い当たったように「ああ」と声を上げた。
「兄上を訪れたというドラゴンか」
王子は納得がいったというような表情で、ラギと私の姿をしげしげと見た。そして感心したように言った。
「本当に人間になれるんだな」
「ドラゴンに変身させましょうか」
「ああ、頼む」
私はラギに言って、ドラゴンの姿になってもらった。
「凄いな」
王子が顔を輝かせて近寄って来た。
するとラギが「グルァ」と言って羽をバタつかせた。
それで王子は止まったが、子供のような表情で「触らせてもらえないか」と私に言った。
そんな王子を見て私は、なにこの人可愛い! と思っていた。
(年上のイケメンなのに子供みたいな表情をして、もろ私の好みなんですけど)
するとそんなことを考えているのが分かったのか、ラギが人型に戻って私に抱き付いてきた。
そして王子を威嚇し始める。
「グルルル」
王子のほうはそんなラギの様子には構わず、ドラゴンの姿でなくなったことにガッカリしていた。
「もう一度ドラゴンになってくれないか」
そう言われて私がラギに頼んでみたけど、ラギは嫌がって変身してくれなかった。
「じゃあ私が変身しようか?」
私が半ば本気で言ったら、ラギはブンブンと首を振って、それからドラゴンに変身した。
するとまた顔を輝かせる王子。
私がラギに「王子に触らせてあげてね」と言うと、ラギは私をじっと見て、それからうなずいた。
王子はそろそろと近寄って来て、そっとラギの身体に触れた。
ラギは嫌そうな顔をしたが、大人しく王子に触られていた。
私はその様子を微笑ましく眺めながら、現実でも王子はこんな表情をしてくれるだろうかと思っていた。