噂になってました。
お風呂から上がると、私が持ってきた着替えとは別に、服が二着用意されていた。
(これを着ろってことだよね?)
私は先にラギに服を着せてから、用意されていた服を着た。
部屋に戻ると、テーブルの上はすっかり片付いて、メイドさんたちが待っていた。
「冷たいお飲み物はいかがですか?」
そう言われると飲みたくなる。
私はメイドさんに飲み物をついでもらい、ラギにも渡した。
爽やかな香りのアイスティーはとても美味しかった。
ラギも気に入ったようでゴクゴクと飲んでいた。
「では、失礼いたします」
メイドさんたちが退室すると、私たちはベッドに横になった。
抱き付いてくるラギの髪を撫でると、洗いたてのサラサラ感が気持ちいい。
ちなみに、髪は魔術を使って乾かした。魔術が使えるって素晴らしい。
「ラギ、私が寝てる間、見張ってなくていいからね」
ちゃんと眠るんだよ。
そう言うと、ラギはコクンとうなずいた。
ラギは素直で可愛い。
(これから色々教えなくちゃ)
ラギは素直で頭も良いから、すぐに生活に必要なことは覚えるだろう。
問題は、私にベッタリで片時も離れたがらないことだ。
今のところ、トイレだけは(結界を張って)離れてもらうようにしているが、それ以外の時はほとんど私に抱き付いている。
きっとまだ子供だから甘えたいのだろう。
私も懐かれて嬉しいし、強く言い聞かせることができない。
私は、もうしばらくはこのままでもいいだろうと思っていた。
夢の中に入ると、私は王太子の夢を探した。
しかしその前に気になる夢を見つけた。
ロゼス人の夢だ。王城にドラゴンが舞い降りるところが、多少美化されて映っている。
その夢の中で、王都の人々は喝采をあげていた。
聖獣であるドラゴンが王太子を祝福に来たと噂になっている。
私はそれが故意に流されたものなのかどうかが気になった。
もしかしたら、ロゼス王家の中にドラゴンを利用しようとする人がいるのかもしれない。
私はロゼス王家の人の夢を探した。
そして国王の夢を見つけた。