王城に着きました。
翌朝、私はラギの背に乗って、ロゼスの王都に向けて出発した。
昨夜のうちに、ラギを連れて行くことは(しぶしぶ)納得させていたのだが、このまま人間の中で暮らさせるわけにはいかないとカイに説得されて、とりあえずロゼス王家に保護してもらうことになったのだ。
(まあ、ロゼス王家の人たちにドラゴンを利用する気がないのは分かってるし)
そのことは夢の中で調べておいたので安心できた。
なので、カイの話に乗ることにしたのだった。
(私のこともなんとかしてくれるって言うしね)
指名手配されたままでは冒険者を続けることはできない。
私が別の姿に変身できれば登録し直すのだけど、あれからどう頑張ってもほかの姿には変身できなかった。
……本当はキースたちと一緒に行きたかったけど、ラギを人間の中に連れて行くのはまだ不安があるし、ラギの背に乗せるには大人四人は多すぎる。
それに、ラギが私以外を乗せるのを嫌がった。
だから私だけ先に行くことにしたのだった。
カイから紹介状のようなものは貰ったし、私は何の心配もせずに真っ直ぐ王城に向かって飛んでいた。
ドラゴンが王城に舞い降りるということが、ロゼスの人々にどういうふうに映るかなんて考えていなかった……。
私たちは王都らしき所の上空まで来ていた。
しかし、下に見える城が王城かどうか自信がない。
カイに聞いた特徴は合っている。
(いいや。間違いだったら出てくればいいんだし)
私は意を決して、ラギに城の中庭らしき所に降りるように言った。
庭に降りると、私たちは兵士に取り囲まれた。
しかし、攻撃する気はなさそうだ。
「あのー、ここは王城ですよね?」
私はラギの背から、一番近くにいた兵士に訊いた。
「……そうだ。おまえは何者だ?」
その答えを聞いて、私はホッとした。
「私は冒険者のハルカ、このドラゴンはラギです」
「おまえはドラゴンを飼っているのか?」
兵士は私を非難するような目をして言った。
(あ、この人も私がドラゴンを利用してると思ってるんだ)
さすがロゼス人だなあと思いながら、私は「飼っているわけじゃないです」と答えた。