拾われました。
ある日森の中で梨に似た果物を食べていたら、髭もじゃのおじさんがやって来た。
「こんな所になんで子供が!」
私を見ておじさんが叫んだ。
おじさんは西洋人のような顔立ちだったけど、日本語がペラペラだった。
おじさんは私に「親はどこだい?」と訊いてきたけど、私が「どっか行っちゃった」と答えると気の毒そうな顔をして、村まで連れて行ってくれると言った。
たぶん、人間の捨て子だと思われたんだろう。おじさんはとても親切だった。
それからおじさんに手を引かれ、私は森から出て人間の村へと連れて行かれた。
おじさんは村長さんの所に私を連れて行き、「森に捨てられてた」と説明した。
私は名前と年齢を訊かれた。
「名前は春風。年は、わからない」
そう答えると、村長さんは「3歳くらいか」と言った。
それで私は、自分が3歳くらいに見えることを知ったのだった。
それから私は村長さんの家で暮らすことになった。
村長さんには18歳の息子のアデルと15歳の娘のニータという子供がいて、二人とも妹ができたと喜んでくれた。
村長さんの家で初めて人間の食事ができて、私は嬉しくて涙が出た。
すると、その涙を誤解したのか、アデルとニータが慰めてくれた。
私は、ここに来て良かったと思った。