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平和に日々は過ぎました。

 翌朝。目を覚ますと、レキが眠そうな顔で私を見ていた。


「……もしかして、ずっと起きてたの?」


 レキはコクンとうなずいた。

 どうやら私の寝ている間の見張りをしてくれていたらしい。

 どうりで夢の中で追いかけられなかったわけだ。


「眠っても良かったのに」


 私がそう言うと、安心したように私にもたれて眠りについた。

 その様子を可愛く思いながら、私はカイとの会話を思い出していた。


(この子を手放したりなんかできないよ)


 この子はまだ独りじゃ生きていけない。

 きっと獲物のとり方も知らないだろう。


(私が教えなくちゃ)


 私は人間の中で暮らす方法しか教えられないけれど。

 それでも、野生に帰ったとしても役に立つことはあるだろう。


(まずはこの見た目をなんとかしよう)


 この姿も可愛いけど、人間の中では目立ち過ぎる。

 それと、名前も変えておいたほうがいいかもしれない。


(あの密偵はレキのこと知ってるし)


 同じ名前の子供がいたら怪しまれるかもしれない。


 私はどんな名前を付けようかと考え始めた。




 レキが起きると、まずは見た目をちゃんとした子供の姿に整えた。

 そしてレキに言い聞かせた。


「レキ、この姿に変身した時は、ラギって呼ぶからね」


 レキ改めラギは、不思議そうにしながらうなずいた。


 ラギという名前は、私の前世の名字の鏑木(かぶらぎ)から取って付けた。

 最近は、前世のことを忘れかけている。

 でもせめて、自分の名前は覚えておきたい。

 そういう思いもあって、ラギという名を選んだのだった。




 私とラギのオルムでの日々は平和に過ぎていった。

 私はラギに、人間として暮らすために注意することを教えながら、山で暮らす方法も教えていった。

 ラギは物覚えが良く、すぐに色々なことを覚えていった。


 私は夢の中でキースたちと接触し、時々アストニア国王の夢の中にも入って精気を奪い取ってやりながら毎夜情報収集に励んだ。

 そして二か月後、キースたちがようやく国境を越えたことを知ると、私は彼らを迎えに行くことを決めた。

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