子供に変身させました。
レキを子供の姿にさせることはなんとか成功した。
レキに子供の特徴を詳しく言って、変身した姿のあちこちを直して妥協できるところまで仕上げたのだ。
だから普通の子供より多少頭が大きくて身体がずんぐりしているけど、このくらいなら許容範囲だ。
……とにかく今日はもう疲れたので、最終的な直しは明日にして休むことにした。
私は土の魔術でかまくらのようなものを作って、その中で寝ることにした。
かまくらの中に入ると、レキが子供の姿で抱き付いてくる。
私は結界を張ってから、レキを抱き締めるようにして眠りについた。
夢の中で、私はライとキースの夢を探した。
あちこちの夢を覗いてライの夢を見つけた私は、その夢の中に入っていった。
「ハルカ!」
「ライ、元気にしてる?」
そう訊くと、ライは筋肉を盛り上げて「元気だぜ」と言った。
「ライたちは今どこにいるの?」
「カイって人にハルカのことを聞いて、今はロゼスに向かっている途中だ」
……カイというのはあの密偵の男だろう。
「……どんな人だった?」
「黒髪の剣士だよ。ほら、盗賊たちを気絶させてた」
「ああ! あの人!?」
「そうだよ。……会ったんじゃないのか?」
「話しはしたんだけど、顔は見てなくて」
「ふーん……信用できるのか?」
「たぶん……」
「……」
あまり信用はできないけど、二人をオルムまでは連れて来てくれると思う。
「とにかくオルムの麓まで来て」
「分かった」
オルムでの再会を約束して、私はライの夢から出ることにした。
キースの夢の中に入ると、キースが駆け寄って来て「ドラゴンと逃げたって本当か!?」と訊いてきた。
「本当だよ」
「じゃあ、あのカイってやつの言ったことは本当なんだな?」
「……何て言われたの?」
「ハルカが宮廷魔術師に誘われたけど断わって、ドラゴンと逃げたって」
「合ってるよ」
「あと、ロゼスに向かったってのも?」
「うん」
「じゃあ、カイってやつを信用していいんだな」
「ほどほどにね」
「ほどほどって……」
キースが呆れたように肩を竦めた。
「とにかく俺たちもロゼスに行くから」
「うん。オルムの麓で会おうね」
「ロゼス側だよな?」
「もちろん」
そうしてキースとも再会を約束してから、私は夢の中から出たのだった。