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オルムに着きました。

 夕方、日が沈む前にオルムの山頂に着き、私はレキに「変身できる?」と尋ねた。

 するとレキは、すぐさま私とそっくりな姿になった。


(やっぱりドラゴンは変身できるんだ)


 私が特別なわけじゃないと知ってホッとした。


 レキは夢の中と同じように、私に抱き付いてきた。

 私はその頭を撫でながら、とりあえず何か獲って食事にするか、と考えていた。



 人目がないので、私は魔獣を狩って食べることにした。

 今朝、レキが美味しそうに食べていたので、私も食べてみたくなったのだ。


 私は気配を隠して歩き出した。もちろん、レキの気配も隠したままだ。

 しかしレキがベッタリくっついているので歩きにくい。


「レキ、少し離れて」


 そう言ってみたけど、レキはやっぱり離れない。

 私はどうしようか考えて、レキにもっと小さくなれるか訊いた。

 するとレキはうなずいて、すぐに小さくなったのだが……。


「レキ、……子供の姿になれない?」


 私は言い直して訊いてみた。

 レキは私の姿をそのまま小さくして、小人のような姿になっていたのだ。


 レキは子供というのがわからないらしく、首を傾げて私を見ている。

 私は見本になるように変身して見せようとしたのだけど、どう頑張ってもほかの姿には変身できなかった。


(ドラゴンの姿になら戻れると思うけど……)


 私はレキよりも変身の能力が劣っているのではないかと、少し落ち込んだ。


 けれど、さっさと獲物を獲らないと暗くなってしまうと気付いて、私は小人のレキを背負って再び歩き出した。



 魔獣は見つからなかったので、代わりに鳥を二羽と鹿を三頭狩って食べることにした。

 私は夢から精気を得ることができるので、鹿は全部レキに食べさせようとしたけど、レキは私に食べさせようとしてくる。


「私はこっちが食べたいから」


 そう言って私が鳥を焼き始めると、レキは食べずにじっと見ている。

 私はなるべく早く焼くようにしながら、レキに私と同じ姿に戻るように言った。

 そしてくっついて来ようとするレキを制して、私はさっさと肉を焼きあげた。


 待っていたレキにも鹿を食べるように言って、私は鳥の皮をはいでから肉にかぶりついた。

 私が食べ始めると、レキも鹿に齧り付いた。

 そして豪快に食べ始めた。


 レキの食べる姿を見ていると、自分を見ているようで複雑な気分になってくる。

 私はどうやってレキを子供の姿に変えさせようかと頭を悩ませるのだった。

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