再会を約束しました。
ライの夢はすぐに見つかった。
夢の中に入ると、ライが駆け寄って来た。
「ハルカ! 良かった、無事だったんだな」
「うん。無事だから安心して」
「なあ……おまえが密偵だって言うんだが」
「そんなわけないでしょ!」
「そうだよなあ」
ライは安心したように笑った。
ライは疑ったのかと、私はショックを受けた。
(キースは疑ってなかったのに……)
キースみたいに疑わないほうが珍しいのかもしれない。
きっと王都の人々は、私が密偵だからさらわれたのだと信じているのだろう。
暗い気持ちになりながら、私はライにも別れを告げた。
しかしライも、キースと同じように別れを嫌がった。
「……本当は密偵かもしれないよ?」
「それでもいい。一緒に行きたい」
「……ありがとう」
そう言ってもらえて嬉しかったけど、彼らを巻き込むわけにはいかない。
「また夢の中で会えるから」
キースに言ったのと同じことをライにも言ったけど、彼はキースのようには納得しなかった。
「一緒に連れて行ってくれ」
「駄目だよ」
「じゃあ、どの国に行くかだけは教えてくれ。俺たちもそこに向かうから」
そう言われて、私はサンドーラとロゼスのどちらにしようかと考えた。
(サンドーラは暑い国だし、北のロゼスのほうがいいかな)
「ロゼスに向かうことにするよ」
「じゃあ俺たちもロゼスに向かうから、あっちで落ち合おうぜ」
「……そうだね」
きっとライも、夢から覚めればこの会話を忘れてしまうだろう。
けれどまれに、夢魔の夢を覚えているものがいるという。
私はそれに賭けることにした。
「ロゼスで会おうね」
「ああ! 絶対だからな!」
私とライが再会を約束したところで、私は夢から覚めた。
目が覚めると、すぐそばでレキが眠そうな顔をして私を見つめていた。
約束通り、眠らずに頑張っていたらしい。
「ありがとね。もう寝ていいよ」
私がそう言って頭を撫でると、レキは安心したように私に寄り添って目を閉じた。
そして私を守るように、羽で私の身体を覆い隠した。
(いいコだなあ)
すうすうと眠るレキの頭を撫でて、私は決意した。
(きっと私が守ってあげるからね)
そのためには、まずは魔力を封じている魔道具をなんとかしないと。
私はレキの羽の下から出て、魔道具を調べることにした。




