盗賊に襲われました。
王都に向かう途中、私たちがのんびり馬車に乗っていると、森に差し掛かった所で盗賊団の襲撃を受けた。
こんな乗合馬車を襲うなんて、と思いながら、私は盗賊たちの足を狙って氷の矢を放った。
「いてえ!」
「ぐおっ!」
「ギャッ!」
盗賊たちが足を押えて転げ回っている。
それを馬車で一緒だった剣士が次々気絶させていった。
私はライとキースに指示して、気絶した盗賊たちを一ヶ所に集めさせた。
全員集め終わると、私はそこに結界を張って出られないようにした。
「あんた若いのに凄いな!」
私は馬車に乗っていた人たちに褒められた。
見ると、剣士のほうも褒められている。
私はキースとライに「ご苦労様」と声をかけた。
盗賊たちは結界の中から出られないので、馬車は予定通りに街に向かうことになった。
街に着いてから、警備隊に報告するそうだ。
馬車の中でも私は色々な人に話しかけられ、お礼を言われて照れくさかった。
剣士のほうも話しかけられていたけど、無口な人のようであまり会話になっていないようだった。
街に着くと、門番の人に言ってすぐに警備隊に連絡してもらった。
警備隊の隊長らしき人が私にも案内を兼ねて同行してほしいと言うので、キースたちとは後でギルドで落ち合うことにして、私は警備隊と一緒に行くことにした。
私は隊員の馬に乗せてもらうことになったけど、ちゃんと気配は隠しているのに馬が嫌がって乗せてくれなかった。
それで隊長の馬に乗せてもらうことになった。
隊長の馬も最初は嫌がったけど、隊長が強く言うと大人しく従った。
私は馬が怯えないように極力気配を消すようにした。
そうして街道沿いに進んで盗賊たちのいる場所まで行くと、彼らはまだ気絶したままだった。
私は結界を消して盗賊たちが縛られるのを見ていた。
すると隊長が寄って来て、何ランクか訊いてきた。
私がAだと答えると、隊長は驚いたようにまじまじと私を見た。
そして私に「宮廷魔術師の試験を受けてみないか」と言った。
私が「興味ないから」と断ると、残念そうな顔をしていたけど、それ以上は勧めてこなかった。
その日ギルドに着いたのは遅い時間になってしまい、キースたちは伝言を残して先に宿を取っていた。
私は伝言を聞くと、キースたちの宿に向かうべく歩き出した。