追いかけられました。
(まただ)
私は夢の中で、夢に追いかけられていた。
夢の主はあのドラゴンだ。
あれから眠るたびにドラゴンの夢に追いかけられている。
一度だけ、約束通りドラゴンに会うために夢の中に入ったけど、その後は避け続けている。
夢の中に入れば、抱き付かれて放してもらえなくなるからだ。
せっかく助けた命だ。無事に育ってほしい。
そう思って夢から逃げ続けているのだけれど、ドラゴンはまるで諦める様子はなく、毎夜、夢の中で追いかけっこを続けている。
(夢の中では夢魔が最強のはずなのに)
けれど、ドラゴンに食べられたことのある私だ。きっとドラゴンは夢の中でも最強なのだろうと思った。
それにしても、夢の中で追いかけるのはそろそろ終わりにしてほしい。
私は意を決して、追いかけてくるドラゴンの夢の中に入ることにした。
夢の中に入ると、人型になったドラゴンが必死な顔をして私にしがみついてきた。
私そっくりなその頭を撫でて、私はもう追いかけてこないように言い聞かせようとした。
けれどいくら言っても、ドラゴンはただ私にしがみついて頬をすり寄せてくるだけで、私の言葉を理解しているのかどうかさえ分からない。
私は途方に暮れた。そして夢から覚めるまでそのまま抱き付かれていた。