また角熊退治に行きました。
翌朝。
朝食をとってからギルドに向かうと、すでにキースとライの姿があった。
「ずいぶん早いね」
私が言うと、キースが「待たせるわけには行かないからね」と言った。
「何で?」
「どっかのパーティーにでも入られたら困る」
「……入らないよ」
「でもきっとあちこちから勧誘されるぜ」
ライがそう言ったけど、私は“紅”の時のようにパーティーには敬遠されるんじゃないかなと思った。
そう言ったらキースが「あんたを利用して稼ごうってやつは、パーティーに誘ってくるよ」と言ったので、なるほどと思った。
「まあ俺たちも他人のことは言えないけどな」
キースが自嘲気味に言うので、「私が納得して雇ってるんだから、いいでしょ」と言ってやったら、ライが「そうだよな」と言った。
それでその話はお終いにして、私は掲示板の依頼書に目をやった。
今日もまた角熊退治の依頼を選んだ。
これは楽に倒せて効率良く稼げるからだ。
ほかにも魔獣退治の依頼はあったけど、猿の魔獣はすばしっこくて頭もいいから面倒臭いし、猫の魔獣は猫好きの私としては、殺すのは遠慮したい。
だから角熊が一番、精神的にも楽なのだ。
そうして私たちは昨日と同じように乗合馬車で目的地に向かい、昨日と同じように五頭の角熊と、ついでに角猪(猪の魔獣)を倒し、鳥を三羽土産用に捕って帰ってきた。
ギルドに着くと鳥以外を換金し、二人に報酬を支払って鳥を土産に持たせた。
そして明日もギルドで落ち合うことを約束して別れたのだった。