またドラゴンに会いました。
その夜、私は満ち足りた気持ちで眠りについた。
夢の中を漂っていると、またあのドラゴンの精気が流れ込んできた。
(こんなに同じ夢の主に遭遇するのは珍しいな)
そう思いながら、私はその夢から遠ざかった。
……しかし、ドラゴンの夢は私を追っているかのように近付いてくる。
私は観念して、その夢に飲み込まれるのを待った。
夢の中に入ると、ドラゴンが私に駆け寄って来た。
そして人型に変身して抱き付いてきた。
それを受け止めながら、私は、なんか見たことあるような? と思っていた。
黒い髪と瞳の中性的な容姿。
ドラゴンの変身した姿をじっくり見て納得した。
(これは私だ)
ドラゴンは私の姿を写したようだ。
前世の私の容姿にそっくりだ。
改めて自分の姿となったドラゴンを見ると、女子高生だった時より若干幼く、少年のように見える。
そして黒く輝く髪と瞳は、前世よりも美しく見えた。
(……これが今の私の姿なのか……)
村には鏡なんてなかったから、自分の姿は水面に映したものしか見たことがなかった。
前世の自分に似てるなぁとは思っていたが、こんなにそっくりだとは思わなかった。
どうやら無意識に、前世の姿に変身していたようだ。
そんなことを考えていると、ドラゴンが私に頬をスリスリしてきた。
ずいぶんと懐かれているようだ。
「私はもう行かなくちゃ」
そう言うと、ドラゴンはいやいやするように首を振った。
「でもね、いつまでもあなたの夢の中にいられないの」
そう言ったけど、ドラゴンは私にしがみついて離れようとしない。
「また来るから、ね?」
そう言ってみたけど、やっぱり離れなかった。
(参ったな……)
このままここに居続けたら、このドラゴンの精気を吸い取り過ぎてしまう。
(夢の中に入るんじゃなかったな)
そう思うが、今更仕方がない。
私は夢から覚めるのを待つことにした。