大猟でした。
角熊の巣に辿り着くまでに、私は合計五頭の角熊と一頭の鹿を倒した。
鹿はそのまま売れるので、解体せずに持ち帰ることにした。
巣には二頭の角熊がいたのでそれも私が瞬殺して、キースたちに解体を任せた。
(荷物持ちがいると楽だなあ)
私は彼らがいいと言ったら、これからも雇うことに決めた。
……でも“紅”の時のように断られるかもしれないから、あまり期待しないでおこうと思った。
一段落ついて、私たちは食事をとることにした。
飛んでいた鳥を私が雷撃で落とすと、キースがそれを捌いてくれた。
捌いたものから、私は魔術を使ってこんがり焼いていった。
「すげぇな」
「便利だな」
ライとキースが同時に言った。
私は焼いた分を先に二人に食べさせて、自分の分の肉を焼いた。
食事が終わるとキースは満足そうにしていたが、ライのほうは物足りなそうだった。
「もう少し何か捕って食べる?」
私が訊いたらライは嬉しそうにうなずいたが、キースは「いや、捕ったら獲物は持って帰ろう」と言った。
するとライが目に見えてガッカリした。
「帰ったら宿で調理してもらえばいいだろ」
キースがライにそう言ったので、獲物は売るのではなく後で食べるのか、と納得した。
それで私が鳥を三羽捕って、ライが袋に詰めた。
荷物はほかに鹿一頭と、七頭分の角熊の毛皮と角がある。
私が鹿と鳥を引き受け、あとはライとキースが運ぶことになった。
「わりぃな、あんたにも持たせちまって」
キースが申し訳なさそうに言うのを、私は大丈夫だと言って軽々と背負った。
ドラゴンである私にはこのくらいの荷物は何でもない。
「小さいのに、力持ちなんだな」
ライが驚いたように言った。
私は笑って「早く帰ろう」と言った。
帰りは私の気配を隠さなかったので、獣に襲われることもなく無事に森を抜けた。
そして街道を走る荷馬車を見つけると、交渉して荷台に乗せてもらった。
ギルドに戻って報告と換金をすると、キースたちに約束通り報酬を支払った。
鳥の代金を払うと言う二人に「それはお土産ってことでタダでいいよ」と言ったら思った以上に喜ばれた。
「それで、お試しの結果は……」
キースが恐る恐るといった感じで訊いてきたので、私が「これからもよろしく」と言ったら感激された。
こうして私に新たな仲間ができたのだった。