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自己紹介しました。
請けた依頼は、昨日と同じ角熊退治だ。
今は角熊の巣作りの季節らしく、ほかにもいくつか似たような依頼が貼ってあった。
今回はちょっと遠いので、乗合馬車で行くことにした。
馬車の中で、私たちはお互いに自己紹介し合った。
筋肉男がライ(18歳)、細身のほうがキース(20歳)、二人とも同じ村の出身で最近この街に来たのだそうだ。
「雑用の仕事ってそんなにお金にならないの?」
私は参考のために訊いてみた。割に合わない仕事は請けたくないからね。
「普通なら生活できるくらいの収入にはなるんだが……こいつが大食いなんでね」
キースがライを指して言った。
……確かにたくさん食べそうだ。
(私も本当は大食いだけどね)
私の場合は夢から精気を吸い取ってるから、普通の食事で足りているのだ。
夢魔の力がなかったら、私も食費に困っていたかもしれない。
同情心もあって、私は今日はたくさん狩ってやろうと決意した。
角熊が少なかったら、ついでに食用になる獣でも狩って帰ろう。
そんなことを考えながら、私は目的地に向かっていたのだった。