ドラゴンを助けました。
その夜、私はいつものように夢の中を渡り歩いていた。
するとどこからか極上の精気を感じた。
(もしかして、ドラゴン?)
この精気は前世で食べられた時のものとよく似ている。
危ないものには近付かないのが賢明だ。
私はすぐにその夢から遠ざかろうとした。
しかし、その夢から助けを求めるような声が聞こえてきて、私は動きを止めた。
迷ったけど、私はその夢に入って確かめることにした。
念のため、姿をドラゴンに変えておく。
(今の私はドラゴンだ。仲間を食べたりはしないだろう)
そう考えて近付いていく。
夢の主がドラゴンではない可能性もあるが、私にはなぜか確信があった。
辿り着いた夢の中にはやっぱりドラゴンがいた。
しかし小さくて弱々しい。死にかけているようだ。
その小さなドラゴンの周りに膜のような物が見えて、半透明の卵に入ったドラゴンのように見えた。
卵から生まれる前のドラゴンなのかもしれない。
私は人型になって、その小さなドラゴンに近付いた。
するとドラゴンが私を見た。
その悲しげな青い瞳に胸がキュッとなった。
私はドラゴンの周りの膜に手を置いて、そっと自分の精気を流し込んだ。
弱ったドラゴンはどんどん回復していって、驚いたように私を見ている。
もう大丈夫というところまで精気を流し込んでから、私はその場を離れた。
すぐに精気を取り込まないと私の身体が危ない。
私はまた夢の中を漂って精気を取り込んでいった。