勧誘されました。
部屋に入ると、ガルスは勝手に椅子を持ってきて、私に座るように言った。
見たところこの部屋に椅子は一つしかないようなので、私は一応遠慮したのだが「じゃあベッドに座るか?」と訊かれて、大人しく椅子に座ることにした。
ガルスは立ったまま壁に寄り掛かり、ディオはベッドに座った。
そしてガルスが話し出した。
「俺たちのパーティーは俺とディオが剣士で、あともう一人が拳士だ」
「攻撃型のチームなんだね」
「ああ。だから魔術師がいれば防御もできる」
「私も攻撃のほうが得意なんだけど」
「けど、防御もできるだろ?」
「まあ、できるけど……」
「なら問題ない。俺たちのパーティーに入ってくれ」
「……ちょっと待った」
それまで黙っていたディオが私たちの会話に口を挟んだ。
「……こいつを入れるのか?」
「ああ。魔術師としての腕は確かだぜ。俺が確かめた」
「……魔術師ってのは本当なのか?」
ディオが私に訊いてきた。
「本当だよ」
「……」
疑わしそうに見られて、居心地が悪い。
「本当だって! 俺に試合で勝ったんだぜ!」
「おまえに?」
「ああ」
「……ランクは?」
「さっき登録したばかりだからFだ」
「実力はおまえより上だって言うのか?」
「そうだ」
それでも信じられないようで、ディオはうろんな目で私を見る。
「……私、別に入りたいわけじゃないんだけど」
「まあ、待て。こうしたらどうだ?」
ガルスが私たちに提案したのは、明日一緒に仕事をして、それでお互い納得したらパーティーに入るというものだった。
「わかった。それでいい」
ディオがそう言ったので、私も了承した。
とりあえず今夜はここに泊まることにした私は、部屋を取るためにディオの部屋を出たのだった。