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10人のショートストーリー

10匹の捨て猫

作者: 相戯陽大

①朝、学校に行く途中で捨て猫を見つけた。「体長50センチの猫です。拾ってください」と書いてあるダンボールの中に入れられていた。


僕は「帰りに連れて帰ってあげるからね」と言って、持っていたパンをあげた。



②朝、学校に行く途中で捨て猫を見つけた。「体長3メートルの猫です。拾ってください」と書いてあるダンボールをくわえていた。


僕はすぐに110番に通報し、その猫を捕獲してもらった。誰があんなところに猫、ライオンを捨てたのか不思議でならなかった。



③朝、学校に行く途中で捨て猫を見つけた。「体長40メートルの猫です。拾ってください」と書いてあるダンボールが猫の近くでくしゃくしゃになっていた。


こういうときどうすればいいのかあたふたしていると、自衛隊がやってきて僕を保護してくれた。一体あの猫は何物だったのか、おそらく自衛隊員たちもわかっていない。怪獣か何かではないだろうか。


④朝、学校に行く途中で捨て猫を見つけた。「体長4キロの猫です。拾ってください」と書いてあるダンボールが尻尾の先に貼ってあることに気づかずに寝ていた。


富士山より大きい猫の存在を前に呆然としていると、避難警報が発令された。その後、不条理な猫の存在のせいで引っ越すことになった。



⑤朝、学校に行く途中で捨て猫を見つけた。「体長50キロの猫です。拾ってください」と書いてあるダンボールがふさふさの毛の壁の前に落ちていた。


え、どうすればいいの。多分顔が大気圏の外に出てるよこれ。拾うとか捨てるとかそういうレベルの問題じゃないよね。どこから来たのよ。そんなことを考えているとどこからともなく戦闘機が何十台も飛んで来て猫を爆破させた。もちろん世界中でニュースになった。


⑥朝、学校に行く途中で捨て猫を見つけた。「体長10000キロの猫です。拾ってください」と書いてあるダンボールが道端に落ちていた。


その瞬間大きな地震が起きたかと思うと、道路のアスファルトが割れて中からふさふさの毛が出てきた。知らない間に地球は一匹の猫になり変わっていたのだ。



⑦朝、学校に行く途中で捨て猫を見つけた。「体長100万キロの猫です。拾ってください」と書いてあるダンボールが空から降ってきた。


いつの間にか、僕には影が二つできていた。僕だけじゃない、全てのものに影が二つあった。空を見上げると、なんと太陽が二つある。しかもそのうち一つが猫の形をしているのだ。それから地球の気温はどんどん高くなって行き、今では人類が絶滅の危機に瀕している。



⑧朝、学校に行く途中でダンボールを見つけた。「体長1光年の猫です。拾ってください」と書いてある。


それを読んだ直後、急に辺りは暗くなった。雲が出てきたかと思って上を見ると、空から猫が一匹降ってきた。自分に近づくにつれて大きく見えてくるが、なかなか落ちてこない。そのうち地球を軽く飲み込むくらい大きい猫だということが僕にもわかったが、時すでに遅し。この星は猫に飲み込まれてしまった。



⑨朝、学校に行く途中でダンボールを見つけた。「体長10万光年の猫です。拾ってください」と書いてある。


その日の夜、ふと空を見上げると夜空一面に大きな猫の瞳があった。地球に住む全ての人間がそれを恐れたが、それ以降空から猫の瞳が消えることはなくなった。



⑩朝、学校に行く途中でダンボールを見つけた。「体長2兆光年の猫です。拾ってください」と書いてある。


しかし僕は死ぬまで猫の存在に気がつかなかった。それから1億年の時がたって初めて人間は2兆光年の大きさの猫の存在を知ることになる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今迄とは違うパターンですね。 ハイパーインフレなんてもんじゃねぇ~ 途中から想像力の限界を超えちゃいましたよ。
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