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残骸

作者: 泰喜

重い体

うごめく こころ

動かないカラダ


這いつくばって

たどり着いたのは浴槽


空っぽの浴槽に身を預けて

沈み込む


蛇口をひねって

シャワーヘッドから

降らせる雨


雨は体をつたって

海底へと たまっていく


海面は 上へ

海底の深さは 雨がふった時間の分だけ


海が わたしを包んだら

とまる時間


ほら

すこし 軽くなった カラダ


しずかな海面を揺らす わたしの鼓動


時間のとまった海に 漂う こころ

ひとり分の海は狭くて

仕方がなく胎児のポーズ


でてこない産声

とどかない声

ひびくのは うめき声


深くならない海は

すこしずつ体から ぬくもりが移っていく


移っていく ぬくもり

溶け出していく わたし

漂うのは わたしの残骸


わたしが汚染した海

海底の栓を抜いて

いきおいなく流れゆく


新鮮なシャワーを浴びて

わたしの残骸を洗い流す


ちょっとだけの さようなら

母に似た わたし

ちょっとだけの さようなら

祖父に似た わたし


シャワーの熱を頼りに

石けんの香りをお守りに


わたしは現実の海へ

灯台の ともしびが みえる

海をさがして

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― 新着の感想 ―
[良い点] 海は命の源であり、這いつくばるほどの疲労と苦しみを抱えた主人公がシャワーを浴び、ゆっくり癒えていく様子が描かれている。 <雨は体をつたって 海底へと たまっていく ここから壮大なイメージ…
[一言]  ユーザー登録仕立ての新人なのでまだ文法は分かりませんが、この物語は好きです。  吸い込まれるいい詩(うた)です。
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