新政府軍 その7
ヒビキは有賀艦長と話していた。「俺が爆破しておいた基地。あれでどの位、戦力が落とせる?」「フム。失踪した若者を兵士として利用しているらしいからな。本体を絶たなくては意味は無いだろう。足止め程度だな」「まあたまたま今回は援軍が来なかっただけか。調べる必要がありそうだな。こっちで探ってみよう。警察やら何やら動かせるんだ。俺は」「心強いな。そっちはお願いしたい」「貴方は隼人君の守護神を急いで集めてくれ。何が起こるかわからないからな。充分注意してくれ」「フッ。気が合いそうだな。ヒビキさん。貴方とは」「それにだ。大和は日本の誉れ。かつてそう言われた戦艦だ。隼人君だけでは無いだろう。他次元の力で改造されたとなれば敵も狙ってくる。大和が敵に渡ったら日本は崩壊するしか無いのだ。有賀艦長。わかっているね」「アア。それもだ。九人の守護神と大和。どれも欠かせないのだ」
その頃、歌舞伎町でも異変が起ころうとしていた。
若者達が集まるライブハウス。酒と宴と人身売買に溢れた魔性の空間。その一角にゴージャスな椅子にあぐらをかく男がいた。ワイングラスを傾けステージを見定める。
「今日も活きが良い獲物が揃ったな」「ご報告します。タナトス様。我が部隊。壊滅致しました」ワイングラスを割るタナトス。「デ、お前は?逃げてきたと?」「イッ………イイエ。ご報告の為に戻っただけで………」「甘いわ!」タナトスは手をかざした。鈍く光る手で顔を鷲掴みにする。「スマートにいかんかね?スマートに。逃げてきたと。嘘は忠誠の欠片も無い。そうは思わんかね?」「…………ヒッヒー………サッ………左様で…………ビギャーッ」握りつぶすタナトス。「始末しておけ。酒の肴にもならない、ゴミクズを。それからアイツとソコ。私の前に。オーナーが呼んでいると」
「なんか用っすか?」「君達。力は欲しくないかね」「力?そりゃまあ。くれるんなら」「くれてやるさ。我が下部よ。さあ、私に忠誠を誓うんだ。犯罪を犯せ。誉めてつかわそう」
こうしてタナトスの手下共は今日も犯罪を犯すのだった。もちろん関わった若者が帰る事は無かった。
新政府軍 完結
次回、四国攻防戦。