新政府軍 その6
隼人と美香はエアーライドで守護神を探していた。護衛艦ハードポインターに乗るナビィー、戦闘機アベンジャーに乗るパトリック、攻撃艦ナイトポインターに乗り込むアキトとザベル。五機は編隊を組み、迫ってくるアンデットを迎え撃っていた。
「弾薬は抑えろ。いつ補給できるかわからんからな」先頭のアベンジャーが指揮を取る。「まだか?守護神。早く見つけなくちゃ」「隼人。焦らないで。操縦に集中して!照準が定まらないわ」「………いました。臨の白虎!左40度!岩影に隠れている」ナビィーが旋回する。「待て!隊列を乱すな!全員で少しずつ左に後退する。撃ちながら左だ!隼人!守護神を捕らえよ!それまで我等がカバーする」「わかりました。パトリックさん。皆、頑張ってくれ!あと少しなんだ!」「クッ………攻撃艦ナイトポインター。アキト艦。被弾。損傷軽微。まだやれる。隼人!俺が守る。君は早く守護神と接触しろ!」「アキト君。…………残り3メーター。2、1、捕らえた!白虎!君の力が借りたいんだ!僕の言うことを聞いてくれ!」
携帯電話から声がする。「隼人。ヤマトタケルの子孫よ。お前はこの世界に何を望む?」「世界に望む物。それは…………わからない。僕一人の世界じゃ無いんだ。美香さんがいて、パトリック先輩やアキト君…………皆で創るんだ!未来を」「ホウ。面白い。これが21世紀の子か?我々の生きた時代と違うな。ヤマトタケルと九人の守護神はたった一群でこの日本を創成した。それだけのカリスマ性があった。君にその覚悟はあるかね?」「わからない。だが生き抜いてみせる。俺達は!」「ホッホッホッ…………気に入ったわ。さあ携帯電話を私にかざせ!受信ボタンを押すんだ。早く」「アワワワッ…………携帯、携帯…………」「落ち着いて!隼人君。私もついてるわ」「俺達もだ、隼人!急げ!このチャンスは二度と無い!」「ウオーッ!白虎!君の力が必要なんだ!頼む!力を貸してくれ!」隼人は渾身の力で受信ボタンを押した。
白銀に光る携帯携帯。白虎は吸い込まれる。
「なんだ?消えたぞ?」隼人は携帯携帯の画面を見た。「第一の守護神。臨の白虎。スタンバイ」の文字が浮かび上がり1のボタンが輝く。
「隼人。長い旅になりそうだな。飽きさせるなよ。今ここで契約をしよう。お前の守護神として役目を果たすと」「エ?何か無いの?試練とか」「とっくに終わってるさ。君の真意を知りたかっただけだ。さあ、私を解き放て。操縦官に携帯携帯をセットして1のボタンを押すんだ。「頼むぞ!白虎!皆を助けてくれ!」隼人は言われた通りにセットした。ミサイルが白銀に変わる。変形し虎の残像を残しアンデットに向かう。
ズガガガーン。
「クッ………なんて衝撃だ!吹き飛ばされそうだ」パトリックはジリジリと後退する。煙が消えるとアンデットは全滅していた。「スッゲー!これが守護神のインパクトか?」「隼人。よくやった。敵に回したく無いな」「アー。腹へった。カレー食べたいな」アキトが安堵の顔を浮かべる。「お前達、アマちゃんの割にはやるな。ごくろうさん」
「何事だ?今の衝撃。海底火山か?」大和が駆けつけた。
「君達。よくやった。帰還するぞ。海底基地に」大和は全員を収納し、海底基地に帰った。
「始めまして。ヒビキ・京四郎と申します。貴方が有賀艦長で?」「来てくれると信じてましたよ。日本政府軍が」「正確には特刑ですがね」「総理はご無事ですかな?」「エエ。宜しく伝えときますよ。早速だが…………我々も大和のクルーに加えて頂きたい。失踪事件を捜査していたらアンデットにぶつかった。日本の平和の為にも彼らと戦いたいんだ。星崎。二言は無いな?」「エエ。お付き合いしましょう。有賀艦長」
「何だ?政府軍の人間か?」パトリックは隼人に聞いた。「知りませんよ。僕は」「まあいい。よくやったな。隼人」「誉められる様な事はしてませんよ。皆さんの援護があったから出来ただけですから。その意思に共鳴したのが白虎らしいですよ」「今後はその白虎が導いてくれるのか?何かそんな話しは」「あったら話してますから。僕はアキト君が心配なんで。被弾したんでしょ?」「アア。行ってやれ。お疲れさん」
「アキト君!大丈夫かい?」「かすり傷さ。それよりお前、凄いなー。あの攻撃。なんつーの?ズバーンとなってガガガガッて。そんでもって、グシヤッて…………イヤー!すげーや」「…………オーバー過ぎるだろ?目立っちゃうじゃないか?」「謙遜することは無いさ。隼人君。上出来だろ?奴等も打ち返しおまけに守護神まで手に入ったんだ。今日位、威張っても良いんじゃないか」ザベルがコクピットから降りてきた。「キッシッシッシッ。今頃、連中焦ってるぜ。ざまあみろって!」「今後、厳しくなるわね。良かったのか悪かったのか」ナビィーが隼人に近寄る。「そうだぜ。アキト君!さあ、今日はひと休みして明日は訓練だ」「チェッ…………わかったよ。飯にしようぜ。さあ、食堂行こう」
「有賀艦長。失踪事件で大和にも協力願いたい」「アンデットが人間を誘拐してる事件か?我々も知らないのだよ。情報があれば直ぐに政府に送る。だがしかしアンデットが大和を狙っているのも事実なのだよ」「エエ。そのようですね。実際今回の狙いもわからなかった位ですし。大和なのか、守護神なのか」「両方だろうな」
その夜、ヒビキは総理大臣に電話をかけた。「総理。今日で貴方の護衛辞めますんで、すいません。エッ…………アノ〜ソノ〜………大和です。クルーになったんで。情報はまとまり次第送りますから」
続く