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第三章~会いたいと思い出の写真~

 あれから、いつも道理に授業を受けた。

 現在、RHR(ロングホームルーム)。新しい委員会を決めている。

 言うまでも無く、学級委員は阿波井総一だ。女子はくじ引きになり、最終的には女子の中でリーダー的存在の川神麻理奈(かわかみまりな)になった。僕は結構向いてると思う。

 ほかの委員会もサクサクと決まった。

 保健委員や、報道委員、図書委員等……。もちろん僕は、図書委員になった。入学してからずっと図書委員をやっているし。

「よし、これで全部決まった。新委員会に入った人達は忘れずに委員会に出ること。よろしく。連絡は無いから……じゃあ、阿波井、号令」

「起立、気を付け、礼」

『さようなら』

 何と無く、鈴城先生と目があった気がしたけれど、気のせいだろうか。



 学校からの帰り自転車に乗らず、パンクした訳でもない自転車を手で押して歩いている。

 図書館に寄る気にもならず、家に直帰した。

 家に帰ると、母さんも仕事で居ない為、独り自分の部屋で本を読むことにした。

 昨日のあの本を開くと、あの紙が挟まったままだった。自分の勉強机の引き出しにしまっておく。

 引き出しには、母さんと僕とそれから、僕に似た顔の男の人……父さんが写った写真が一枚入っていた。懐かしい。家族で撮った写真なんてほとんど無いけれど、これは、僕の中学の入学式に撮った写真だ。背景には桜と中学の校舎。父さんは僕の肩に手を回し、母さんはその光景を見ながら微笑んでいる。

 父さん……。写真を見たら無性に会いたくなった。会いたくても会えないのだけれど……。

 ベッドに寝っころがって本を読み進める。昨日の紙が挟んであったところは、もう通り過ぎた。


 ――――気が付けば、もう六時を回っていた。

 ふあぁー……。なんだか眠くなってきた。

 ちょっとだけ寝ようかな。母さんが帰ってくるのは七時くらいで、僕の家はいつも八時近くからご飯を食べ始める。三十分くらいで起きれば問題ないだろう。

 眠りの中へ堕ちて行くのは早い。


    *  *  *


「……麻琴君。こんにちは。そして、初めまして」

 誰……?

 また夢?

 サラン? 違うサランの声じゃない。

 目の前が急に明るくなって、一人の男の人が見えた。

 金髪に、茶色い目をして、全身を青と白に纏めたその男は、サランと同様にコスプレかと見紛う服装をしていた。右側の目は、サラサラな金髪で隠れ、周りをを見るのは無理そうだった。指にはリングが一つ嵌り、首からは金色の指輪をチェーンに通しただけのネックレスが架かっている。

「あなたは……?」

「僕ですか? シランといいます。紫に蘭で紫蘭。良い名でしょう?」

「……」

「さて……」

 ん? なんだろう……雰囲気が変わった気がする……。

「麻琴君。一緒に来てもらいますよ」

 わっ! 背中にゾクッとした何かが来た。

 僕に向けられる紫蘭という男の目。笑ってるように見えて、目の奥が笑ってない!

 直感で分かる。

 ――――ヤバい。

 気付くのが遅かった。寝ぼけてたのかもしれない。これは、サランの言っていた“夢の扉”じゃないか!

 どうしたらいいんだろう。あっ、夢を覚ませばいいのか。――――頬をギュッと抓ってみたけど、ただ痛いだけで、目の前にはあの男が居たままの何も変わらない景色だった。

 何も出来ないまま少し離れたところに佇む男を睨み返していた。

「ああ、そんなに警戒しないでください。無理やり連れて行ったりは、しませんから」

「じゃあ、付いて行きませんよ。早く僕の夢から消えてください」

「酷いですね。少しくらい考えてくれても良いじゃないですか」

「嫌です。会ったばかりのあなたの話を聞く義理は無いですから」

「そうですね。もっともです。でも麻琴君、あなたは僕と一緒に来るはずです。僕は、あなたのお父さん、弥生さんを探すチャンスをあげてるんですよ? 僕の誘いを断ったら、弥生さんは一生帰ってこないでしょうね。どうします?」

 微笑みを浮かべながら紫蘭は僕の方を見ている。

 父さんに会いたいと思う気持ちは確かで、それでも扉を(くぐ)るわけにはいかないんだ。サランとのこともある。

「あなたはどうして僕を連れて行こうとしてるんですか? 父さん……弥生の息子だからですか?」

「麻琴君。君は弥生さんの血を引いている。資格を持っているはずなんだ」

「その、資格ってなんですか?」

「ここから先は教えるわけにはいかないよ。付いて来てくれたら、その時に教えるよ」

 はぁー……。もうどうして良いか分からない。

「わかりました。考えさせてください」

 だから、そのまま考えることにした。運よく一回現実に帰してくれるかもしれない。そしたら、鈴城先生に相談しよう。

「考えてくれる気になったんだね。時間はどれ位欲しい?」

「えっと……二日間の間に答えを出します」

「わかった。じゃあ、二日後の夜寝た頃にまたお邪魔するよ」

「はい、そうしてください」

 上手くいった。これでいい。二日間ゆっくり考えよう。

「うん、いい返事を待ってるよ」

 ――――サッ、と紫蘭は僕の視界から消え、僕は元の自分の部屋に戻った。

 それと同時に母さんの「ただいまー」という声がした。

 時計は六時四十五分を指していた。


 この調子だと、まだまだ続きます。

 今回も読んでくださいました皆さんありがとうございます。

 学校のテストも終わりましたので、どんどん書いていきます(アイデアが出る限り……)。


 でわ、これからもよろしくお願います。

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