香ばしい朝日
ふと目が覚めてベランダに出た。世界はまだ朝になりきっていなくて、でももう夜でもなかった。
明日、というか今日は休みなのだから、ここから寝直しても構わないのだが、せっかくの早朝に眠ってしまうのももったいない気がして、わたしはしばしまだ薄暗い街を眺めていた。
そのままぼぅっとしていると、流石に体が冷えてきた。私は一旦部屋の中に戻った。
少しだけお腹が空いていたけど、しっかりと食べる程ではない。私はキッチンに目を向けた。フライパンを火にかけ、少し多めの油を敷いた。
戸棚の引き戸を開き、輪ゴムで留めていた袋を取り出す。そしてそこからザラザラと音を立てながら、乾燥したコーンをフライパンに注いだ。塩を入れてヘラでかき混ぜる。味付けはどのタイミングがいいのかわからないが、私は最初に入れてしまう。次第にコーンがふつふつと動き始め、香ばしい匂いが立ち上がってくる。と、一つ目がぱちっと弾けたタイミングで蓋をかけてフライパンを振る。すぐにフライパンの中は大合奏になる。焦げないようにしながら出来るだけ多くを弾けさせるのが難しい。フライパンを揺すると、案の定底から弾けられなかったコーンが存在している堅い音が聞こえる。
私はポップコーンを全部弾けさせる魔法があったらぜひ使いたい。恐らくエルフの魔法使いのあの人も私に同意してくれるだろう。そんなことを思いながらくすくすと笑う。
いつの間にかフライパンの中は静かになっていて、予想していたよりずっと多い量のポップコーンが出来上がっている。少ししか入れなかったつもりだったのに。
いつになったらポップコーンの適量がわかるようになるんだろうか。
私はフライパンの中からポップコーンを取り出し、まるでご飯をよそうようにご飯茶碗に山盛り入れる。
ベランダに繋がる大きな窓を開いて、窓の境目に腰掛け、足先だけベランダにおろす。
今更登り始めた朝日を眺めながら、私はポップコーンを口にした。ちょっとだけ塩が薄かったかな。優雅と言えなくもない、そんな朝だった。




