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第一章 大きな足跡

今年も雪は降らなかったわね。


うん。


色鮮やかなポインセチアとは対照的に僕の表情はまるでモノクロのようだった。



ミーンミンミンミーンミンミン

これは三年前の夏の事だ。


「ヤマト!そんなにゆっくり歩いてると遅れるわよ!

またバナナ食べてるの?ほんとサルみたい!」


「うるせえそっちこそりんごばっかり食べやがって!」


「私はダイエットだからいいの!」


「ちっ、、、いけねえ急がないと!

待てよ!」


俺の名前はヤマト、なんでこんなに黒いかって?俺の両親はアフリカ出身だからだ。でも俺は日本生まれ日本育ち。アフリカどころか県外すら出た事ない、いつかいろんな所を旅するのが俺の夢だ。

昔から周りはみんな俺をよそ者扱いする。

でもこの子だけは違った。

みんなからの人気者でいつも笑顔だった。

この子との出会いは今年の春、、、


「バナナ1本くれない?」


「?、、え?

(なんだよ急に)」


「だ、か、らお腹すいたからバナナ1本頂戴って!」


「あ、あぁいいけど、、」


「私の名前はホワイトスノー!スノーって呼んで!」


「ホ、ホワイトスノー??変わった名前だな?

あだ名か?」


「私12月が誕生日なんだけど、毎年その日には雪が降るの、だからホワイトスノー!

まあ名前なんかなんだっていいじゃない!」


「まあ、いいか、俺もこの見た目でヤマトだからな、、」


「なにそれ面白い!笑」


それからよく話すようになった。

何が好きで何が嫌いか将来のことなど、この子にならなんでも話せる気がしていた。

いつしか俺はスノーに惹かれていった。


「なあスノー、明日富士山いかない?」


「んー、今の時期危険だよ?」


「大丈夫だって!じゃあ明日!」


「ちょ、ちょっと!!」


俺はそそくさとその場を立ち去った。

明日山頂で告白しよう、そう決心していたからなんか照れ臭くてスノーの目を見ることもできなかった。


次の日は朝から快晴、絶好の山登り日和だった。

俺たちはたわいもない会話をしながら登っていた。


「ん?雨降ってきた?」


「嘘だろ?、、、あっほんとだ。」

山の天気は変わりやすいっていうのは本当なんだな。


「やだ、結構強くなってきたよ?

どうする?」


「くそっ、土砂降りになる前にこの先の山小屋に逃げ込もう!」


「うん!」


俺たちは走った。

すぐに山小屋は見つかり、なんとか土砂降りになる前に到着した。


「間に合ったー!」


「あー今凄い降ってきたね!

きゃっ!!」


「ただの雷だ。多分通り雨だから今はひどいけどすぐに止むさ!」


「だといいけど、、、」


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