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終焉の魔女の弟子  作者: ららるり
少年弟子入り編
7/7

少年とお料理


食堂に訪れると、


「おや。お疲れ様です」

ゼイユさんはティーカップを2個用意して待っていた。


「さぁ疲れたでしょう。一度休憩を挟みましょう」


ゼイユさんはティーカップに紅茶を注ぎ始める。


「あ・・・あの!僕紅茶苦手なんですよ」

「おや・・・。残念。ならジュースをお出ししましょう」

ゼイユさんは自分の分のティーカップに紅茶を注ぎ、ジュースを取りに行った。


紅茶の味がどうにも苦手なんだよね・・・。


数分後、コップにオレンジ色の液体を入れたゼイユさんが戻ってきた。

「オレンジジュースです」


「ありがとうございます!」

僕は一言お礼を言い、オレンジジュースを受け取った。


ちょうど喉も乾いていたので、一気に飲み干した。


「ん。美味しい!」

孤児院にいた時飲んでいたオレンジジュースよりも美味しく感じた。


「でしょう?これはアリスさんが育てたみかんをそのまま絞ったもので、普通の果物として食うのも、甘くて美味しいですよ」

「へぇ〜!」


庭園の管理人(フローリスト)》って言ってたし、花を育てている人かと思ってたけど、果物とかも育ててるんだ。


数十分、僕とゼイユさんは談笑し、十分な休息を取れた。


「ふぅ・・・。ではそろそろ試験の説明をしましょう」


紅茶を飲み終えたゼイユさんがティーカップを置き、僕に微笑む。


「私がショウくんに課す試験は"お料理"作りです」

「りょ・・・料理」


料理。作ったことはない。


孤児院に入れられる前も、孤児院にいるときもいつも誰かに作ってもらっていたから。


「あいにくこの館にはお料理をできる人が私しかいないので・・」

「アラモネさんとか案外作れそうですけどね」

「・・・この館で1番料理がお上手じゃないのは彼女です」


「・・・なんかすいません」


結構アラモネさんはなんでも得意そうなイメージだったけど、料理下手なのか・・・。


「あぁ・・でもアリスさんは昔、私が来る前に皆さんにお料理を作っていたとか・・・」

「意外ですね」


ゼイユさんが先にいそうだったけど、アリスさんが先だったのか。


「さて。話を戻します。食材やスパイスはここにあるもので構いません。ただし、食材はなるべく無駄にしないようにしてください」

「わかりました」


食材を無駄にしたら殺すぞと言わんばかりの圧を感じ、少々僕は萎縮した。


まぁとりあえず、材料の確認をしてみよう。

僕はキッチンに入った。

芋に、お肉に、小麦粉に・・・。


本当に様々な材料が揃っていた。

それに、釜戸に金属のフライパン、ボタンを押すと、魔法陣から火が出るものまで。


「ん〜〜。」

僕は考え、作り方を知っている料理を思い出した。

「あれにしよう!」


にんじん、鶏肉、ジャガイモ、玉ねぎ、ブロッコリーを用意し、切る。


玉ねぎは切ると、目が痛くなって涙が出てきた。


「これ。使えば時短になりますよ」

ゼイユさんは僕が何をつくっるのかを察したのか、"あるもの"を差し出してくれた。


「ありがとうございます!」

僕はそれを受け取り、料理作りを進めた。



厚底鍋に具材を入れ、一つにする。


1時間の料理の末、


"シチュー"が完成した。


「ゼイユさん。シチューのルーありがとうございます」

「大丈夫ですよ」


もしルーがなかったらもっと時間がかかっていた。


ゼイユさんは小皿にシチューを少し移し、飲んでみた。


「・・・おぉ。美味しいですね」

目をキラキラさせ、大層気にいってくれたようだ。


「ゼイユさんってご飯は東の方ですか?」

「えぇ」

「じゃあ今日は西で出してみましょう。ご飯を用意しておいてもらえませんか?」


僕の提案にゼイユさんは顎に手を当て感心していた。


「そうですね。たまには西にしてみましょうか」


ご飯は東洋風か西洋風か分かれており、僕は西洋風だ。


東も食べてみたいが、慣れているものを食べたい。


「・・・やっとご飯を手伝ってくれる方が」

手伝ってくれる人がいなかったのかな?


いや、忙しい人が多いのだろう。


「ショウくん。合格にしましょう。最後はアリスさんですね。庭園でお待ちです。」


何はともあれあと1つ。


気を抜かずに行こう。


_______


最後の試験を、アリスさん以外が特で見ていた。

どうやら応援にきてくれたみたいだ。


「・・・皆さんはお優しいですから簡単な試験にしたんでしょうけど。私はそうはいきませんよ」

アリスさんは冷ややかな目でこちらをみる。


「・・・お花の知識はありますか?」

「ちょっと齧った程度には・・・」

アリスさんは呆れた顔で

「はぁ・・」

と大きくため息をついた。


「すいません・・・」

僕は下を向いた。


花に関する本はあんまり見てこなかった。


「・・・何を下向いているんですか。試験を始めます」

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