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終焉の魔女の弟子  作者: ららるり
少年弟子入り編
5/7

少年と魔術


エレナさんの試験を終え、僕はビアンカさんの待っている屋敷前へと向かった。


屋敷の出入り口のドアを開けると、噴水を眺めているビアンカさんがいた。


僕はかけより声をかけた。

「お待たせしました。ビアンカさん」

だが、ビアンカさんは反応せず、


ぼーっと噴水を眺めていた。


「ビアンカs((」


ビアンカさんにもう一度声をかけようと手を近づけると、僕の手目掛けて、水の球が飛んできた。


「うわ!」

水の球は僕の手に当たった。


水だから痛くはなかったが中々びっくりした。


「ぷ・・・あはは」

草むらから笑いながら出てくるビアンカさん。

でも僕の横にもビアンカさんはいる。


「・・・あ!!《幻影魔術》!」

昔、終焉の魔女が逃げるために作った魔術。


自身の囮を召喚できる魔術。


「あぁ。よく知っているな」

僕は少し拗ねていた。


騙されて怒らない人間は多分いないだろう。


「そう拗ねるな。試験の一環なんだ」

「試験の?」


僕がそう聞き返すと、ビアンカさんはニコッと笑った。


「魔術師の弱点。それはなんだと思う?」

魔術師の弱点・・・。


「詠唱ですか?」


最初に思い浮かんだのはこれだった。

「あぁそうだ。剣士や弓使いなどは魔術師が詠唱をしている間に攻撃できる」


「・・・・あのビアンカさん。もしかして・・・」

嫌な予感がした


「あぁそのまさかだ。ショウ私が君に課す試験は"魔術を無詠唱で使えるようになることだ"」

「やっぱり・・・」


ビアンカさんは僕に水球・・・水初級魔術を当てた時詠唱をしなかった。


初めて会った時もそうだ。

氷中級魔術《氷域(アイスフィールド)》を詠唱せずに助けてくれた。


ビアンカさんは無詠唱術師だ。


「と言っても僕今日アラモネさんから教えてもらった。闇初級魔術《重力操作》しか使ったことありません」


今日初めて魔術を使えたのにどうやって無詠唱を・・・。


「ショウ。お前は孤児院にいたころ詠唱をして魔術を出そうとしたことはあったか?」

ビアンカさんはふと、僕にそう聞いてきた。


「しましたよ何回も!周りにアドバイスもらってもできませんでしたし・・・でもここにきたら使えましたね」

そうだ。


孤児院にいたころ何度詠唱してもアドバイスもらってもできなかった魔術がこの館に来て使えるようになった。

「人の魔術の才能は"魔素"を吸収するとされている。」

「魔素?」

孤児院の本にはそういうことは書いていなかったはず。


「・・・これは私の実験結果で分かったことだ。まぁ・・・簡単にいえば、ご飯食べれば人は元気になるが、ご飯をあんまり食べない人は不健康といった例えならわかるだろうか?」


・・・なるほど?


「えーっと・・・つまり?」

「魔素は人が集まれば集まるほど吸収され、人が集まらないところに溜まると推測される」

「もしかして僕が魔術使えたのって・・・」


「魔術大国という魔術師の才能集まりし都にて、もうほぼ存在しないに等しい環境で本来の才能を発揮できなかったが、ここ。"終焉の魔女"の影響下による"大量の魔素"をショウは吸収したんだ」


・・・要するに、ハーレイには魔素が全然なかったけどビアンカさんがいるこの館は魔素がめっちゃ多く、僕はそれを吸収したんだね。


「ショウ。10分以内に無詠唱魔術を扱え。さもなければ出て行け」

「急な脅し!」


「スタート!」

僕の話もまともに聞いてくれないまま、ビアンカさんは試験を始めた。


どうしよう。

無詠唱魔術について詳しいことも言ってくれなかった・・・。


詠唱を口に出さず、魔術を行使する。それに至るまでになんの工程がいるんだろう。

僕は脳をフル回転させ、考える


エレナさんはそういえば《錬金魔術》を無詠唱で使ってた。

詠唱するより無詠唱の方が格段に早かった。


と言っても使えるのは《重力操作》だけだし・・・


とりあえず、イメージをしてみよう。

魔力を使って口でしゃべらず重力を操る。


僕は噴水の水を浮かせるようにイメージをした。


無詠唱魔術を使うのはさほど難しいものではなかった。


噴水に溜まっていた水が全て重力に逆らい、空へ飛んでいく。


「・・・やはり」

ビアンカさんは僕の魔術を見てそう声を漏らした。


「やはり?」

僕は気になって聞き返した。


「・・・あー。ショウ。お前なら使えると思っていたよ」

僕はそう言いながら微笑むビアンカさんの仕草に違和感を覚えた。


「まぁとにかく、合格だ。簡単だったかな?」

「いやこれ案外難しいですからね!!?」


普通に使えるだろみたいに言われて僕は少し怒った。


「まぁ次は()()()だ。おそらく、魔術を行使しなくてはならない場面があるから気をつけてね。多分あいつならこの屋敷の裏・・・()()()()()()にいると思うよ」


ビアンカさんの違和感をこれ以上聞くわけにもいかず、僕はケインさんの待っている森の出入り口へと向かった。

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