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終焉の魔女の弟子  作者: ららるり
少年弟子入り編
3/5

少年とお掃除


「じゃあ早速試験の内容なんだけど・・」

アラモネさんは僕にエプロンと"掃除道具"を渡してきた。


「ここの部屋のお掃除を頼みたいの。1時間以内に綺麗にお掃除できたら合格だよ」

掃除か。

確かにアラモネさんはここの掃除屋。でもこんなに広い館を1人で掃除なんてなかなか1日じゃできないだろう。


「わかりました」

僕が掃除する部屋のドアを開けると、風に乗って埃が舞い上がったと同時に、虫が数匹飛んでくる。


「ギャー!!」

虫が嫌いなのかアラモネさんは僕を盾にした。

「逃がしてー!!お願いー!!」


掴まれている手がブルブルと震えており、僕は意を決して虫を数匹窓の外から投げ出した。


虫の羽音や持った時になったカサッという感触や音が離れず寒気を覚えたが、試験を不合格になるわけにはいかない。


僕は布マスクを着用し、掃除に取り掛かった。



どうやら結構掃除されていない部屋らしく、あちこちに埃が溜まっており、ベッド、机、本棚も埃をかぶっていた。

幸い、ベッドは布が置かれていない状態だったため、まだ楽だ。


ただ問題は家具の下だ。

床や壁、窓枠などは届くが、本棚の上などは身長がたらず吹くことができない、

「まだ子供だから許して⭐︎」

とかしても許されるわけないし・・・。


とりあえずできることはしようと思い、床や壁の水拭き、窓枠や窓。換気を行い、家具を拭いたり、家具した・・。


残り10分ほどとなった。

本棚は動かして下の埃は掃除し、届くところは水拭きもした。


だがこれで不合格をもらうと結構辛い。

頭を悩ませていると、ドアの隙間からこちらの様子を伺っていたアラモネさんが助言してくれた。


「身長が届かないところとか、重い物を動かしたい時は《重力魔法》を使うといいよ」

といってくれた。


だが、僕はそもそも魔術を使えない・・・。

その助言をくれるくらいなら足場を用意してほしい。


机の上乗っても僕の身長じゃ上は届かない。


「・・・重力魔法の使い方教えてくれませんか?」

僕は藁にもすがる思いでアラモネさんに教えを乞う。


「簡単だよ。血が巡る感覚と同じように魔力を手に集まらせて、詠唱するだけ。見てて」

アラモネさんは目を閉じ、詠唱を始める。


《重力よ。天地に縛られし鎖を解き放ち、我に答えよ《重力操作(グラビティア)

詠唱が終わると、本棚はフワーと浮いた。


「さ。やって見て」

やって見てと言われても・・・


僕は見よう見まねで一応やってみることにした。

目を閉じ、教えてもらったアドバイスのもと、詠唱をする。

《重力よ。天地に縛られし鎖を解き放ち、我に答えよ《重力操作(グラビティア)


手から力が抜ける感覚がし、目を開けると、本棚は飛んでいなかった。

ちょっとガッカリしながら、もう一度本棚に触ろうと歩くと、届かなかった。

本棚は先ほどまで浮いていなかった。


あまりの出来事に困惑していると、地面が遠かった。足がついている感覚がなかったのだ。


本棚が浮いたのではなく、僕自身が浮いているのだ。


魔術が初めて使えたことの喜びを噛み締めつつ、僕は本棚の清掃を急ぐ。




「ーーそこまで!」

僕は掃除の手を止めた。


ギリギリだったが本棚は吹けた。


多分大丈夫。


「じゃあ掃除が行き届いているかチェックするから待ってね」

アラモネさんは僕から掃除道具を受け取り、部屋の中へ入っていった。


程なくしてアラモネさんは部屋から出てきた。


「結果を伝えるね」

僕は息を呑んだ。


「床の拭き掃除をした後に、家具を動かしてたからちょくちょく埃が落ちてたね。窓もちょっと汚れてたよ。」

落ちたかもしれない。


ふと僕の脳裏にその言葉がよぎった。

冷や汗をべっとりとかいており、小刻みに体が震える。


「今後は気をつけてね。ショウくん。合格だよ。頑張って」

肩をとんッと叩かれ、僕は安堵の息を吐いた。


「よかった・・・」

「さ。次はエレナの試験だよ。突き当たりを右にいったところに階段がそこを降りればいいよ」


「はい!ありがとうございます!」

僕は案内された方向へ向かう。




「・・・私の試験は簡単でしたかね?」

《認識阻害魔法》で試験を見ていたビアンカにアラモネは反応を伺う。


「まぁいいんじゃないか?でも残りの10分で魔術を教えるとは思わなかったけどね」

ビアンカもまさかアラモネが魔術を教えると思っていなかったらしい。


「ですよね・・・あはは・・・」

「それにしてもアラモネ。《重力魔法》なんて使えたんだね。知らなかったよ。教えていたのは初級だったけど

 ・・・あ。さては図書館の掃除中に見つけたな?」

イタズラの笑みを浮かべながらアラモネの顔を覗き込むビアンカ。


アラモネはバレた・・・と声を漏らし、そそくさとビアンカから逃げていった。


「・・・全く。それにしてもやはり見込んだ通りだったな。もし、鍛えたら化けるぞ。ショウ(あいつ)は」

ビアンカはエレナの元へ向かうショウの後ろ姿を見ながら哀しい表情を浮かべ、懐から一枚の写真を取り出す。


「・・・今度は守るからな。()()()の分まで」

取り出された写真は、楽しそうに微笑む館の人たちビアンカとアリス、エレナともう1人、"白髪の少年"と写っている写真だった。


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