少年と魔水晶
「魔族を呪う・・・石?」
ミレイはカロナにそう聞き返す。
「・・・はい。パパが・・・よく言ってたことなんですけど・・・」
カロナはそう言って魔水晶について語り始めた。
「フェイルビア王国には何が何でも入るな。我々魔族が入ったが最後、フェイルビアの呪い水晶が発動し、一週間で死滅する」
父親の口調をまねてしゃべったのか、普段のカロナの弱弱しいしゃべり方とは全く違う
「・・・ってよく言われていたことなのに普通に入ってるじゃないか?!」
と、レイに突っ込まれ、にへへと笑うカロナ。
「・・・でもまずくないですか?フェイルビアの呪いもうかかってる可能性ありませんか?」
ユウキくんはそう言ってミレイから魔水晶を貸してもらい、眺めている。
「・・・そういえば、アリスちゃんってどこにいったのでしょう?」
突然シエスタがあたりをきょろきょろと見まわし、そうつぶやく。
「あ。確かに・・・」
続いてユウキくんが声を漏らす。
そうだった。
シエスタたちが知っているのは薬で小さくなったアリスさん
僕を助けるため、元の姿に戻っている。
突然のことだったから伝えられていないはず。
「あ・・・りすはヴィオラ様と一緒にお城で待ってるって言ってたよ」
僕はうそをついた。
「そうだったんだ!」
「なら、フェイルビアのお土産でもあとで・・・」
僕の話を信じてくれたらしく、お土産の話を始めた。
「・・・って!今は呪いの話を!!!」
ユウキくんのツッコミにより、僕たちは再度呪いについて頭を悩ませる。
「ならミレイ。使用人さんたちやパパに魔水晶について聞いてこようか?」
「ならよろしくお願いします」
ユウキくんが頭を下げ、ミレイが部屋を出ていき、残った僕らで考える。
こんなとき、ビアンカさんが、ケインが、ゼイユさんが、エレナさんがいてくれたら。
魔女の館での思い出がフラッシュバッグし、唇をかみしめる。
早くみんなに会いたい。
帰りたい。
やっとできた僕の居場所に。
大好きな人たちのもとへ。
思い出をかみしめ、魔水晶のことが頭から抜け落ちた瞬間、
遠くの方で爆発音が聞こえた。
振動がここまで伝い、激しく揺れる。
「なに・・・これ?」
カロナは怯え、ユウキくんの服の裾をつかんでいる。
一度外に出て爆発したであろう箇所を探していると、伯爵の館。すぐ後ろの山々から黒煙が上がっていた。
ところどころ木々が燃えており、悲惨な状態だ。
「さ、さっきまで燃えたりしてなかったよな?」
レイの問いに一同は首を縦に振った。
「ともかく、避難しましょう。ここにいては被害を受けるだけです」
「使用人さん方。伯爵に指示を仰いでください」
ユウキくんやシエスタさんの指示のもと、僕らはフェイターの街へ降り、避難することに。
「みなさんは先に行っててください。僕はミレイさんを待ちます」
僕はミレイと、アリスさんを探しに行ったアラモネさんを待つ。
念のため魔法鞄から杖を取り出す。
その時、アリスさんにもらったゴーグルが杖に引っかかって一緒に出てきた。
「アリスさん・・・」
ゴーグルを見つめ、短期間でもつけておこうと、頭部へ装着する。
が、まだゆるく落ちる。
「まだちっちゃいのかよ・・・」
とがっかりしながら、アラモネさん達が出てくるのを待つ。
シエスタさん達はカロナ、ユウキくんを守るように走ってゆく。
「・・・・ママ」
カロナは山からの爆風とともに一瞬姿を現した破滅の魔女に向かい、誰にも聞かれぬよう小さな声でそう声を漏らした。




