少年と孤児達
オークションから一週間。
10人中3人が帰る場所もなく、王様の計らいで3人を城へ住まわせてもらっている。
1番歳が近い僕が3人のお世話係を引き受けた。
「おはよう。カロナ」
「お・・・はよう・・・ございま・・・です」
《吸血鬼》と人のハーフ少女
床に着きそうな真っ赤な長髪。真っ赤な瞳でこちらを怯えたように見るカロナ。
8歳。
「血は今日飲まなくても大丈夫?」
吸血鬼は血を飲む種族で、あんまり長く血を摂取しないと貧血になると本に書いてあった。
「は・・・はい。う・・・うちはハーフなので、あんまり血を飲まなくても・・平気です」
「そっか。何かあったら呼んでね」
まだ怯えられているのであんまり刺激するのも良くないと思い、僕はカロナの部屋を出る。
「次は・・・」
カロナの隣の部屋をノックし、中の人物に声をかける。
「ユウキくん。おはようございます」
「・・・あ。はい!」
部屋の中からバタバタと足音が聞こえ、扉を開けた。
最初にオークションで買われた黒髪の男の子。
この辺りではあんまり聞かないユウキと名乗ったのでそう呼んでいる。
「今日も図書館で勉強するんですか?」
と僕が聞くとユウキくんは大きく縦にうなづいた
「はい!まだまだ知りたいことがあるので」
好奇心旺盛みたいでアラモネさんから昔の僕を見ているみたいと言われた。
対して似てないと思ったんだけど。
ユウキくんが図書館の方へ走ろうと駆け出した瞬間、走った方向にあったドアが開き、ユウキくんが行き良いよくぶつかる。
バン!っと大きく音が響き、僕はユウキくんに駆け寄る
「が・・・・」
鼻血をダラダラと垂らし鼻を抑えるユウキくん。
僕はすぐに無詠唱で治癒魔術をかけ、怪我を直す。
「・・・ありがとうございます」
鼻を抑えていた手をどけ、僕に一礼する。
僕は扉を開けた人をみる。
ユウキくんの容体を真っ青な顔で見ていた。
「アリスさ・・・アリス」
「・・・ごめんなさい」
魔女の館でお世話になった鬼族のアリスさん。
『それにしてもびっくりだよ〜まさかビアンカさんがアリスさんをオークション会場に入れるなんて〜。
しかも体までちっちゃくなって・・・』
そう。話は一週間前に遡る___。
オークション会場で商品として捉えられていた人を解放していると、
「ショウくん・・・!」
泣きながら僕に正面から飛びついてきた水色の髪の少女。
「わぁ?!」
当然脳が理解できない。
数分経って少女は落ち着いたのか事情を話し始める
「私。アリスです。魔女の館で庭園の管理人と薬品調合をしていた・・・」
少女の言った一言にアラモネさんと僕は顔を見合わせ、少女の顔をじーっと見てみる。
『確かにアリスっぽいけど角がなぁ・・・』
「角がなくてもアリスさんな気がしますけどね」
じーっと見ても埒が明かないので質問をしてみることにした。
『アリスの1番好きな花は?』
アラモネさんの質問に迷うことなくアリスさんは
「青い薔薇です」
と答えた。
「じゃあアリスさんの得意な魔術はなんですか?」
アリスと名乗った少女はこの質問にも迷うわず答える。
「水と神聖魔術です。どちらも中級までしか使えません。鬼族の遺伝なのか火魔術は上級まで使えます。鬼族しか扱えない火魔術も多少心得があります」
昔聞いていた答えと全く一緒の回答。
「ビアンカさんに様子見を増やしておこうと言われて、体を幼くするポーションを作ったんですよ」
とのこと。
『アリスなんだぁ・・・』
アラモネさんには小さくなったアリスさんを物珍しそうに隅々まで見る。
言葉通り隅々と。
動物化した体でアリスさんの服の中まで。
「どこ見てるんですか!!!!」
服の中がモゾモゾと動き、
『ここは別に子供の姿でも小さいままだね』
と呟くアラモネさんに頬をカーッと赤く染め、パクパクと口を動かす。
「もぉおおお!!!」
城内に響き渡るアリスさんの怒号。
僕はアラモネさんを置いて、逃げ出す。
『ぎゃーーー!!』
アラモネさんの悲鳴が聞こえた気がしたが、自業自得なので・・・うん。
ユウキくんは先ほど僕が魔術で 怪我を治したので、静かに座っている。
「あ・・・。ユウキくん。ごめんなさい」
アリスさんはアラモネさんの頬を引っ張りユウキくんに謝る。
アリスさん。アラモネさんは認識阻害をかけてるからアリスさん今変な人だよ?
と静かに心の中でツッコミを入れておく。
「いえ。・・・あ。アリスさん。お聞きしたいことがあるのですがいいですか?」
「はい。大丈夫ですよ」
アリスさんとユウキくんはこちらに一礼して図書室方面へと向かっていった。
僕とアラモネさんはすることがないので、カロナちゃんともっと親密になろうと、90度回転する。
『 やっほ〜 』
少し離れたところで、カルナ・レイブン。
___破滅の魔女が僕らを手招きしている。
殺気を放たず。
初めて会った時は動揺もしていたから特徴を捉えていなかったが、
赤髪の短髪で顔が整っている。
白い服が好きなのか、白で統一された衣装を身につけている。
細かなところまで装飾が施されていることからそれなりの地位にいるらしい
『あれが・・・・』
アラモネさんは初見だ。
「・・・・なんでしょうか」
僕が破滅の魔女を睨むと、眉を下げ悲しそうな顔をする。
『 ひどいなぁ。そんなに睨むなんて。』
「質問に答えてください」
僕ははっきりいってこの人が嫌いだ。
少々冷たくはあるが当たり前だ。
地獄へ戻した張本人だ。
『 私は君に接触した理由は3つ。 』
破滅の魔女はそういって指を三つたて話し続ける。
『 1つ、記憶の確認 』
「記憶?」
僕が食い気味に聞くと、破滅の魔女はため息をついた。
『 ・・・その様子だとまだみたいだね。じゃあ1はまだその時じゃないのね 』
ボソボソと独り言を呟く。
記憶の確認・・・。
一体なんの意味があると言うのだろうか。
『 2つ目。子供の様子を見に来た 』
『・・・子供?』
『 うん。今はここで暮らしてるみたい 』
赤髪の子供。
僕とアラモネさんはおそらく同じ人物を思い浮かべた。
「マ・・・マ?」
廊下で騒がしくしていたのを気になったのか、赤髪の子供
____カロナは自身の部屋のドアを開け、自身の部屋の前に立つ赤髪の女性を見て
そう声を漏らした。
「ママ・・・ママ!ママ!!」
何度も何度もママと呼び、破滅の魔女に抱きつく。
『なんで・・・・自分の子供をオークションに出してるのよ!!!」
アラモネさんは途中で人の姿へと戻った。
拳を握り、破滅の魔女を睨む。
『 いや。最初は愛情あったけど。やっぱあいつとの子ってわかったら気持ち悪くなっちゃってねー 』
そう平然と答える破滅の魔女にアラモネさんは殴りにかかる。
『 おっそ 』
破滅の魔女はそういってアラモネさんのパンチを避ける。
『 3つ。吸血鬼の男・・・。この子の父親が来るんだけど、
____殺してくれない? 』
こいつは一体何をいってるんだ。
僕とアラモネさんは破滅の魔女の言っている意味を理解できず、思考が停止する。
カロナは目を見開かせ、震えている。
異常者だ。
こいつは。
『 まぁ最も。獣族の裏切り者じゃあまず勝てないけど 』
アラモネさんを見ながら妖艶に微笑む破滅の魔女。
アラモネさんは青ざめ、絶句した。
『 アンちゃんも物好きだね〜。鬼姫の娘に、雷の処刑人、フェイルビア国の大罪人、忌み子の炭鉱族・・・ 』
この人は一体何を知ってるんだ?
『 そして・・・終焉の犠牲者にして、私らの希望。転生者 』
破滅の魔女が言い放ったその一言で、
僕が経験したことのない記憶が断片的に蘇る。




