少年とオークション
宮廷魔術師になって半年ほど経った。
最初の頃は城の使用人さんに警戒されていたけど、すっかり心を開いてくれて、
「ショウ様!美味しいお菓子ありますよ!」
「ショウ様!魔術の調子はどうですかい?」
など、簡単な交流をできる関係になった。
一応半年の間ただの肩書きだったわけもなく、シエスタとレイの暗殺を試みたやつを魔術でフルボッコにして地下牢送りにした。
戦に参戦してくれてもいいぞと声をかけられたが、ビアンカさんがそういったことを嫌っているのを知っているので お断りをしておいた。
城内を歩いていると、シエスタとレイ、それとおそらく第2王女が並んで歩いてきている。
「・・・あ!ショウ!」
レイが僕に気付き手を振りながら走ってくる。
シエスタと第2王女もゆっくりとこちらへ近づいてくる。
「今日お姉様が帰ってきたの」
と嬉しそうに語るシエスタ
僕は第2王女の方を向いて自己紹介をしておく
「初めまして。ショウ・アクレシアと申します。現在は宮廷魔術師として雇われております」
自己紹介が終わり、第2王女の顔を見てみると、
すっごい満面の笑みだった。
「えぇ・・・っと?」
「・・・ねぇ様!」
レイが第2王女の顔の前で手を振る。
すると我に帰った第2王女は慌てて自己紹介を始める。
「・・・わ、私はヴィオラ・クロード。第2王女です。今日はオークションへ行くため帰ってきました」
肩につかないぐらいの短い青髪。
王女にしては珍しい。
「オークション?」
髪に気を取られていたが、オークションという言葉に引っ掛かり僕は聞き返した。
「えぇ。あんまり表じゃ言えませんが闇オークションへ行こうかと」
一体何が目的なんだろう。
「ヴィオラ様。僕もついて行ってもよろしいですか?」
つい好奇心からそういってしまった。
ヴィオラ様もついていきたいなんて言われると思っていなかったらしく、驚いている。
「・・・いいけど、闇オークションだから面倒なことになるかもだけどいい?」
「はい」
僕がそう返すと、ヴィオラ様はぷっと吹き出した。
「あはは・・・!レイやシエスタに聞いたまんまだ。面白い子だね・・・!」
何吹き込んだんだ!
「ねぇ様!ショウが行くなら俺もいきたい!」
「私も!」
2人はどうやら僕が行くといったことで一緒に着いてこようとしている。
闇オークションならやめといた方がいいんじゃ
「いいよ」
「いいんだ?!」
思わず突っ込んでしまった。
「うん。私がいる場所で3人に危害を与えるわけにはいかないよ。じゃ。夜からだから夜になったら一緒に行こうか」
ヴィオラ様はそう言い残し、僕らの後を離れた。
「オークションならお父上にお金をいただいてくる!」
レイはそういって国王の元へと走ってゆく、それを止めるべくシエスタもレイを追いかける。
「平和だな〜」
とぼくは呑気にそんなことを考えていた。
『どこがよ!!』
と肩に乗って様子を見ていたアラモネさんにツッコミを入れられる
とりあえずオークションっていう予定ができたし、それまで魔術の勉強でもしておこう。
「じゃ。行くよ」
ヴィオラ様が仮面をつけ馬車を用意して待ってくれていた。
「仮面がいるんですか?」
オークションがどういったものかいまいちわかっていなかった。
「あぁ。闇オークションは素顔をバレないようにして行うのが必須でね。もちろん知らないと思って準備してきたよ」
そういってヴィオラ様は僕ら3人の仮面を準備してくれていた。
口から上が隠れる黒い仮面をお揃いでつけ、馬車に乗り込む。
馬車に揺られながら3人と会話をする。
「お姉様はそろそろ婚約されるんですよね?」
「うん。貴族の生まれじゃないからお父上を説得するのは骨が折れたよ」
どうやらヴィオラ様は婚約されるようだ。
「でもいいじゃん!好きな人から《青い薔薇》貰ったんだろ?」
レイがにししと笑いながらヴィオラ様にそういうと、ヴィオラ様は顔を真っ赤にさせ下を向く。
「・・・なんで知ってるのよ」
そういえば僕もアリスさんに咲かせてあげた花だ。
「誓いの花とも言われた《青い薔薇。同性に渡す場合は『友情が続きますように』ですけど・・
____異性にあげたら『一生そばにいます』ですものね」
・・・え?
うん。え?
「・・・あの。僕もその花知人の異性に渡したんですけど」
僕の言葉に3人は食いついてきた。
「花言葉の意味をわかって渡したの?!」
「彼でも咲かせるのに大量の時間を掛けたのに・・・!」
「よかったな!」
それからも会場に着くまで話は続いた。
会場に着いた頃には僕はげっそりと痩せていた。
会場はやや薄暗く、さまざまな貴族が来ていた。
僕らは今回高い位置にある椅子に座った。
会場を一望できる位置だった。
1階の奥にはカーテンがかかっている。
「只今より!奴隷オークションを始めさせていただきます」
司会進行がそう声を会場に響くほどの大声でそう宣言する。
奴隷オークション。闇ってついてるから想像はしてたけど・・・。
一体ヴィオラ様は何をするつもりなんだ?
カーテンの奥から白い服に包まれ鎖で繋がれた黒髪の男の子がトボトボと震えながら歩いてくる。
「まずは商品番号01番!人間の子供!男の子!9歳で黒髪。虫歯なし。状態も良好。1000金貨からのスタートです!」
カンっとハンマーのようなものを司会が叩いた瞬間、仮面の貴族らが
「1200!」
「こっちは1500!」
「2000!」
と次々に手を挙げる。
徐々に金額は上り、
最終的に
「3400金貨で落札です!」
1人の婦人が落札した。
舌なめずりをして男の子を眺めている。
体をブルブルと震わせており、恐怖で顔を顰めている。
レイやシエスタも流石にこの光景を見てられず目を背けてる。
「・・・ヴィオラ様。お願いをお聞きしてもらってもいいでしょうか」
僕はヴィオラ様の方を向きそういった。
「いってみて」
「奴隷の人たちを救いたいです」
僕の言葉に「ほう」
と声を漏らすヴィオラ様。
『何をいってるの?!』
対照的にアラモネさんは僕の発言に驚いている。
「なら。やってみて」
ヴィオラ様は手をひらひらとさせる。
『いいの?!』
数秒でオークション関係者がやってくる。
ヴィオラ様と何かを話し、僕に白い服を渡す。
「危なくなったら呼んでね」
そう一言呟いたヴィオラ様を後ろに、僕は関係者へ連れて行かれる。
レイとシエスタが心配そうにこちらをみている。
『もう!』
ニコッと微笑み、僕はカーテンの後ろに訪れた。
カーテンの後ろは表と対照的に薄暗く、汚かった。
服を着替え、体を鎖で繋がれる。
「おい。新しい商品だ」
僕を連れてきた関係者の人が、他の人間に僕を差し出す。
「おっ高く売れそうなガキだな!」
男はそういって僕の顔を覗き込む。
酒を飲んでいるのか嫌な匂いがする。
僕は酒の男に連れられ、壁の鎖へと繋がれる。
僕の他にも繋がれているのは9人おり、
全員が身を震わせ、下を向いている。
途中、水髪の少女がアリスさんにそっくりで凝視してしまった。
幸い少女は正面を凝視しており僕が見ていたことに気づいてはいないようだった。
繋がっている人以外に見張っている大人が5名。
全員が剣・杖を所持しており、相当な警備大勢のようだ。
「次の!」
警備の1人がそういうと、1番右にいた子と先ほど買われた男の子が入れ替わる。
入れ替わり、入れ替わりを繰り返し僕の番。
僕がカーテンから出てきた瞬間の周りの目は僕は忘れない。
舐め回すように僕のことを見る奇異な視線。
「さぁ飛び入りの目玉商品!白髪に整った顔立ち。人間でおよそ10歳ほど!3000金貨からスタートです!」
「3500!」「こっちは5000!」
次々と値段が跳ね上がる。
僕は《時間操作》で警備員と貴族らのいる場所の時間を止める。
ヴィオラ様の方を見て見ると、口角をあげ拍手をしている。
「驚いたな〜。無詠唱魔術本当に使えたなんて」
ヴィオラ様はそう言いながらクロード騎士団の紋章の入った帽子をかぶる。
「ここから先は任せておけ。お前たち!貴族らを拘束しろ!」
ヴィオラ様がそう声を大にすると、入り口から同じような帽子を被った人がゾロゾロと出てくる
「私は第2王女兼、クロード騎士団で確保や偵察を主にしている。今回はこのオークションに出席した貴族を逮捕する名を受けやってきた」
その後の流れは簡単だった。
拘束した後、魔術を解除し、逃げられることもなかった。
商品と呼ばれていた子達は親がおらず自分たちで暮らしていた子や普通の子を誘拐したりして集められていたらしく、居場所がある子達はヴィオラ様が直々に送るそう。
もうオークションは懲り懲りかもしれない




