少年とパーティー
1週間が経過し、パーティーへ行くことになった。
魔術大国という名がついているが、正式名称はクロード王国というそこそこ大きな国だ。
王城は4つ向こうの街にあり、朝からの移動しなければならないらしい。
朝から馬車に、それも家族となんて乗りたくなかった。
「お父様。僕は転移魔法が使えます。王城付近にワープした方が時間の短縮になりませんか?」
そう提案してみることにした。
少しでもいる時間を減らすためだ。
お父様は感心したような顔を浮かべ「使え」と一言僕に言ってきた。
「わかりました。今から参りますか?」
パーティーは夕方ぐらいだ。
今から行っても早すぎる。
「あぁ。早めに行って。街を歩いてみるか」
「わかりました。馬車に母様達と乗っていただいてもいいですか?」
「あぁ」
黒色の馬車に、乗り込む母様達。
最後に僕が乗った。
5人入っても全く狭くないそれどころか全員がくつろぐ余裕すらある。
「転移魔法なんて使えるの?」
アイナが不思議そうにこちらを覗く。
「はい」
どう接したらいいのかもわからないので敬語で返した。
ビアンカさんの転移魔法をそばで見て。
独学で勉強した。
____転移魔法。
無詠唱で発動し、馬車を白い光が包む。
数秒後、馬と、馬車は、クロード城の城門前に転移した。
「・・・本当に使えたのか」
兄や母は使えたことに少々驚いていた。
城門にいた兵士は突然現れた馬車に驚いていたが、アクレシア家の家紋の入った馬車だったので、困惑しながらも通してくれた。
「____では。僕はここの街を見てまわります。破滅の魔女様の遠隔監視がついていますので逃亡はしません」
家族らにそう言い残し、足早に馬車から飛び降りた。
______
「はぁ」
やっと1人になれた。
ただ、あいにく僕の格好はアクレシア家の家紋に入った藍色の服装を身に纏っており、街の人たちから注目を浴びている。
「そうだ」
僕は路地裏に入り、魔法鞄からローブを取り出し、纏う。
確か認識阻害が付与されていて、認識レベルを自分で変えられる。
一般市民と同じぐらいの認識にすれば・・・。
表へ出ると、全く物珍しい目で見られなくなった。
安堵の息を吐くと。
「やめて!」
悲鳴が聞こえた。
声の方向を見ると、
表通りを騎士5人から逃げ惑う深々とローブを被った2人。
さてどうしよう。
「だ・・・!」
逃げているうちにつまずき、ローブの片方がこける。
おそらくその隙に捕まえられるだろう。
「はぁ・・・」
見て見ぬふりをするほど薄情な人間ではない。
というより、ビアンカさんに自分も助けられたから。
見て見ぬ振りはできなかった。
僕は認識阻害を解除し、騎士とローブ2人の間に立った
「な・・・何者だ!」
もちろん突然現れた人物を警戒しない騎士などいない。
「通り過ぎのただの魔術師です」
流石に人相手なので、然程被害の出ない
闇魔術
《時間操作》で騎士らの時間を1時間後に動くよう設定し、止めた。
「・・・すごい」
ふと、そう呟く声が聞こえた。
「ありがとうございます。少々、騎士と揉めてしまい・・・」
フードを脱いだ2人。
フードによって隠されていた青色の髪が顕となった。
「俺たちは悪くないんだ・・・!だって父上が約束を破って・・・・今日は隣国でやる剣術大会を一緒に見に行ったりするって・・・」
悔しそうに握り拳を握る男性。
と言っても僕とそんなに変わらない。
「レイ・・・」
どうやらこの2人のお父様がやらかしちゃったらしい。
「・・・なら。今日出掛けられなかった分次の旅行はお父様になんでもいうことを聞いてもらうのはいかがでしょう?」
僕が案を出してみると、2人は顔を見合わせ、僕の手を取った。
「名案!!」
と、喜んでくれた。
「・・・でも騎士達には怒られちゃうな」
「そればかりはどうにも・・・」
「ねぇ魔術師さん。私たちと騎士から逃げてくれない?」
「大してすることないですし・・・。いいですよ。あ・・・あと僕はおそらくお二人より年下かと・・・」
というと、2人は驚愕の顔をする。
「嘘っ!!?俺12歳!!」
「私は14歳・・・・」
やっぱり・・・
「僕は昨日で10歳です。」
「てっきり不老不死の魔術師かと・・・」
「まぁ僕夕方ごろには予定があるので。それまでは」
僕は《重力操作》で僕を含めた3人の重力を軽くし、浮かばせる。
「いたぞー!!」
タイミングよく騎士の応援が来た。
「逃げましょう!」
「あぁ!」 「えぇ!」
街にはもうたくさんの騎士がいた。
魔術を使っては逃げ、使っては逃げを繰り返し、夕方。
「・・・すいません。用事があるので僕はこれで」
王城近くの路地裏で2人を下ろした。
「数時間一緒にいて名前もお聞きになっておりません。お名前をお聞かせ願えませんか?」
教えていいものかと悩み、いいことを思いついた。
「次会った時名乗りましょう」
と僕は言い残し、転移魔法を使った。
「次。すぐ会えればいいけどな」
と少年はがっかりそうに呟く。
________
王城前へ転移し、ローブを魔法鞄へとしまった
身なりを整え、
お父様達を待っていると、すぐにやってきた。
僕は人の影のように静かにお父様達の跡をついていく。
王城内は僕の家よりも豪華で壁一つ一つに装飾が施されており、シャンデリアが光を反射し輝いている。
すでに沢山の貴族やらが集まっているようで、お父様の元へ挨拶へ来た。
「これはこれはウェイド様。お久しゅうございます」
「あぁ。ヘルゼン様でしたか。ゲイルは元気ですか?」
「えぇ!おかげさまで!そちらもドライ様とアイナ様もお元気なようで・・・ん?この子は?」
兄と妹を順番に見た後、その横にいる僕に気づいたようでお父様に質問していた
「あぁ。病弱の息子が・・・ショウがついに病に打ち勝ったんですよ」
と、嬉しそうに語るお父様。
真っ赤な嘘を次々と並べるお父様に呆れが出る
「初めまして。私はヘイゼン・ブライツと申します。ショウ様よろしくお願いします」
と、次々と貴族達がやってきては挨拶を繰り返す。
数十分後、第5王子と第3王女がやってきた
「え"」
思わず声が漏れた。
階段から国王と共に降りてきた
第3王女と第5王子は、今日僕と街を飛び回った2人と瓜二つだった
「本日はお集まりいただきありがとうございます。儂が国王ドミニカ・クロードじゃ。」
国王が口を開き、王子、王女が前へと出る。
「私は第3王女シエスタ・クロードと申します」
「僕は第5王子レイ・クロードと申します」
自己紹介を王子・王女がしているが、やはり声も同じだ。
黒色を中心とした衣服に、金色の装飾が施されている。
それにしても2人とも顔色ひとつかえず立っている。
正直、楽しくないだろう。出会った時より苦しそうだ。
いやきっと・・・バレなきゃ!再会じゃ・・・・!
「・・・!」
第3王女と目が合ってしまった!!!!
ニコッと微笑んでこないで!!!
王女が微笑んだことに気づいた王子が王女の視線の先を追う。
「・・・ぁ!」
王子にもバレた!!
「さぁ。お前達。他の方々と関わってこい」
国王が2人の背中を押すと、2人は真っ先に僕の元へ来た。
「「初めまして。お名前をお伺いしても?」」
目を輝かせ、僕の名前を今か今かと待っている。
「初めまして。ショウ・アクレシアと申します。シエスタ王女、レイ王子」
結局名乗る羽目になるとは・・・
「見たことないぞあの少年」
まだ挨拶をしていなかった貴族からは奇異な目で見られる。
「「お父上!!彼を宮廷魔術師として雇ってくれませんか?!」」
近くを通りかかった国王に2人はそう申し出た。
「・・・は?」




