第三十六話 金の亡者編エピローグ
金の亡者編、完結です。
ウェルス商店街の人々から押収した魔道具は、どれも手に入れるのに大金を払う必要のある一品ばかりでだった。
とはいえ、帝国時代では、腐るほど溢れていた戦闘用の魔道具だ。だが、魔王との戦争で使い果たした今は、中々お目にかかれない貴重品。
「商店街の彼らのバックにいる組織の経済力は、少なくとも王宮以上であることに間違いない」
回収した魔道具を、冷静に一つずつ仕分けしていくルドミル。
そこには、アイラやリタがエレナからドレスを使うために移動した、世界に9つしか出回っていないポーションの瓶もあった。
使用されたハズの瓶の中には、再び透明な液体が入っている。
使用後、時間の経過と共に、中のポーションが回復する使用だ。
何回でも使えて、更にこのポーションは、誰かが使用した魔法をそっくりそのままコピーする事が出来る。
コピーしたのは、物体転移の青。それも魔力を最大で出力している。金の亡者達は、突然この魔方陣で現れ、そして突然この魔方陣で消えた。
非情に短時間での犯行を行うことで、証拠も非情に少なく、またドレッドに情報が入ったときにはもう、その場から消え失せている。
魔方陣の場所も、広い町のどこに展開されたか分からないため、ドレッドの探知魔法を使ったところで、街中歩き回って突き止めるのに、どれだけの時間がかかるのか。
「良い計画だ。短時間で女王への批判、テロ行為、そして商人達の物資の調達を行っている。摩擦病の薬で後を消し、痕跡も残さない……帝国時代のやり口に似ている」
ルドミルは瓶の蓋を開けると、ブツブツと呟きながら、部屋の地面にポーションを垂らす。
「発動しない……まじか」
らしくない呟きをしたルドミルは、頭を抱えながら思考を巡らせる。
元々魔方陣が展開できた場合、ドレッドにその魔方陣を解析して貰い、誰の魔法をコピーしているのかを突き止める手はずだった。
だが、既にポーションにコピーされた魔方陣は消えてしまっている。
この魔道具は、コピー元の術者の意思で、コピーを解除する事が出来る。
「ウェルス商店街の人々が王宮に捕まったことを知り、解除した……それを知ることが出来た者」
ウェルス商店街の人々がテロ組織、金の亡者であったことを、国民は知らない。
知っているのは、ウェルス商店街のバックにいた組織、もしくは王宮。
「可能性があるなら、張って見るべきか……」
彼らのもたらした問題は山積みだ。
そして、ルドミルがうろたえる道具がもう一つ。
「確か、彼らは銃と……」
見た目に反して重量のある鉄塊に、ルドミルは目を光らせる。
「(一体どういうことだ。いくら調べても魔方陣が展開された痕跡はない。魔力を一切使わず、自然的な仕組みのみで、ミルヴァを戦闘不能にする威力……)」
ルドミルは一つ一つ丁寧に、自分がどこを触ったのかまめにメモを取りながら分解していく。
だが、出てきたのはミルヴァの腹を貫いた鉄の玉含めた計6つと、謎の黒い粉。
「これだけ精巧で緻密な物、一体誰が作ったんだ」
ルドミルは銃を机の上に置くと、肘をついて額に手を当てながら呟いた。
「女王様はまた、ドレスを渡してしまわれた……商店街の問題を収める手としては、確かに最善だ。彼らが欲していたものなのだから。だが……全く、先が読めない」
ルドミルは、傍らに置いてあった飲みかけの酒をぐいっと飲み干し、虚ろな目で外を見て言った。
「今のうちに……寝るか」
今回の件に関する報告書にちらっと目を落とすと、ルドミルは机に突っ伏した。
その3秒後、ルドミルのいびきが、無音の部屋を駆け巡った。
ストックが切れてきました……更新頻度下がるかもしれません。見てる方いましたらすみません。
え?三連休最終日?何それおいしいの?




