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第二十四話 マーク、ドレス捜索開始


※マーク主観


 俺は魔法が使える3人の部下を連れ、エレナが少女にドレスを渡した現場に赴いた。


 見たところ、大通りにひっそりと隠れた薄暗い小さな道で、基本的には誰も通っていない。


 エレナの話によれば、赤みがかった茶髪の10才くらいの少女に、女王のドレスを渡したと言っていたか。少女が、ドレスの価値も分からず無邪気な物言いをしてしまうのは分かる。


 だが、問題はその後だ。エレナは、目を離した隙に少女が目の前からいなくなっていたと言っていた。あの重たいドレスを持って、エレナに気づかれずに、エレナの視界から一瞬で移動する何て、普通は無理だ。出来るとしたら、魔法を使うしかない。


 それに、突然現れ、そして突然消える。そのやり口、どこかで聞き覚えが……。


「少し、気がかりだな」


 俺は、エレナ様が少女にドレスを渡した現場を見渡す。


「レイ、探知の魔法を」


 俺は部下の一人に、橙色の魔方陣を展開させ、辺りに魔法を使った痕跡がないかを探させた。


「異常ありません」


 異常がない……それじゃあ本当に、ただ単に少女がドレスを欲しがっただけなのか?

 いや、まだそう決めつけるのは早い。


「レイ、お前の探知の魔法は、魔法を使った痕跡を消した跡も探知出来るのか?」


「いいえ、出来ません」


 と言うことは、まだここで何らかの魔法が使われた可能性は捨てきれないということか。


 いや、どちらにしても、その少女を見つけ出せば全部分かる。


 もしも少女が見つからなかったら、その時はこの国随一の探知の魔法の使い手に、同行を頼むとしよう。


 その後俺は、エレナが俺に隠れてひそひそと通っていた商店街へ赴き、その少女について聞いて回った。


「あー、あんたエレナ様の護衛の人でしょ!エレナ様がいっつも愚痴っているからすーぐ分かったわー」


 愚痴って……るのか。あいつ。


「護衛としての務めを果たすのも良いけど、たまには幼なじみらしく、気楽に接してやれよー?」


 何故、こんなこと言われなくちゃいけない。俺は仮にも、女王の護衛を任されているんだぞ。役職的に言えば、師団長よりも上だ。俺もエレナと同じ村の出とはいえ、お前達とは、地位も立場も違うんだぞ。


「お前達、俺は仮にもーー」


「はいはい、こっち座って座ってー、話すならうちの野菜を食べながら話しな」


「ついでにうちのフルーツも」


「うちの肉も、焼いてやっから食えよ」


 な、何だ……こいつら、仮にも王の護衛を務めるこの俺に、敬語も使わずズケズケと、帝国時代だったら即処刑だぞ?


 いや違う……そうか、エレナは、こんな風に、同じ目線で彼らと話していたのか。誰が偉いとか、身分だの地位だのを超えて、どんな人とも、壁を作らず……。


 少しだけ、兆候が見えてきた気がする。

 エレナの作る、新たな国の姿が。


「ふ、分かった……食べてやるから、話を聞かせてくれ」


 それにしても、こいつらはどうしてこんなに喋り続けれられるんだ。


「エレナ様ほーんと可愛い子でねぇ」


「うちの料理も、よく食べてくれるんだよ」


「ねえ、今度はいつ来るの?」


 そうか、こいつらは……エレナをそんなに気に入っているのか。


 民に愛される女王とは、こういうことを言うのかも知れないな。


 これなら愛国心も国民に芽生えるだろう。国をと言うよりは、女王に対しての心だろうが、国を統治する上ではそちらの方が都合が良い。


 この騒動が終わったら、俺の護衛付きでエレナに国の色んな所に赴いてもらう、なんてのもありかも知れないな。


「そんじゃあ今度は、村にいた頃のエレナ様の話きかせてくれよ!」


 だが駄目だ。このままでは沢山の食事を食わされたあげく、エレナの話をして一日が終わってしまう。


「すまないが、俺にはやることがあるんだ。食事も食べさせてもらったし、商店街の者達を集めてもらいたい」


「言われなくても、もう既に集まってるけどな」

「え」


 確かに、商店街の皆が既に俺の周りを取り囲むようにして集まっていたが……商売はどうしたんだ、そんなんで良いのか?いや、今はよそう。やるべき事に注視しなければ。


「先日、この辺りに赤みがかった茶髪が特徴的な、10才くらいの少女を見かけなかったか?」


「……」


 ほんの僅かな時間、商店街が静まりかえった。自分でも気づかず、気のせいだと思ってしまうほど、一瞬。


「茶髪で10才くらいの少女……あー、アイラのことか?」


 商店街の皆が顔を見合わせ、うなずき合っている。どうやら、ここにいる全員が、今出てきたアイラという名の少女に心当たりがあるらしい。


「詳しく聞かせてくれ」

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