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11話:なんかうぜぇヤツがいたな(スザク視点)

 深夜過ぎ。


「はぁ、マジでうっぜぇヤツがいたなー」


 俺は配信用のドローンを切ってから、すぐにそんな事を呟いていった。


 俺の名前は烏丸朱雀。二十歳の男だ。


 普段は大学生をやりながらダンジョンライバーをしている。大学生になってから冒険者を始めたので冒険者歴は二年くらいだ。


 今現在の冒険者ランクはBランクなので割と強い方だ。中級モンスターなら倒せるくらいの実力だしな。


 そして今は配信者活動にも凄く力を入れていて、今ではチャンネル登録者数も80万人を越えた有名配信者だ。


 これほどまでのチャンネル登録者を得てるのはダンジョンライバーは一握りしかいないので、俺は冒険者としてだけでなく配信者としてもかなり成功しているという事になる。


 つまり俺は冒険者界隈ではかなり有名な人物だといっても過言ではないはずだ。それなのに……。


「それなのに大手配信者の俺のチャンネルに軽々しくコメントを打ってくるゴミチャンネルがあるなんて……マジで腹立たしいな!」


 俺のチャンネルは登録者数80万人越えの大手チャンネルだから、他の色々なチャンネルからのコラボ依頼だって沢山やってくる。


 だけど俺はコラボ依頼は基本全部有償にしてる。相手が可愛い女だったりチャンネル登録者数多い場合は無償でやるけど、それ以外は金を払わなきゃコラボするつもりは一切ない。だってそうじゃなきゃ俺にメリットが一切無いからな。


 それなのにあのユウチャンネルとかいうキモい男は俺の配信に気軽にコメントを打ってきやがったんだ。


「はぁ、俺みたいな大手チャンネルにあんな気軽にコメントを打つとかマジで終わってるよな! せめてスパチャで金払ってからコメントしろよな! ボケカスが!」


 しかもあのボケカスは気軽にコメントを打っただけじゃなく、Bランク冒険者である俺に対して『薬草を捨てるなんて勿体ない!』とかいう頭悪すぎるコメントまでしてきやがったんだ。


 さらに調合でポーション薬が作れるとか誰でも知ってる事をドヤ顔で書き込んできたかと思ったら、いきなり調合でハイポも作れるようになるとかいうフェイク情報すらドヤ顔でコメントを打ってきやがって……今思い出してもマジでムカつくわ!


 ってかそもそもBランク冒険者の俺に対してクソガキのクセに指図してきた事が一番イラついたわ。ユウチャンネルってヤツ、高校生のクソガキのクセにめっちゃ生意気だったよな。本気でブチ殺したくなったわ。


―― ピコン♪


「うん?」


 そんな事をイライラとしながら考えていたら急に俺のスマホから通知音が鳴った。それはLIMEの通知音だった。


 なので俺はイライラとしながらもスマホを開いてLIMEを確認していってみた。すると……。


「……って、あっ! ルリちゃんからの返事じゃん!」


 するとそのLIMEは如月ルリという女の子からのメッセージだった。この子は俺と同じく冒険者と配信者をやっている子だ。年齢は18歳の高校三年生だ。最近事務所同士のコラボ配信で知り合った年下の女の子だ。


 そしてルリちゃんの冒険者ランクはCランクで俺よりも一つ下だけど、チャンネル登録者数は200万人越えをしている凄すぎる超大手のダンジョンライバーだ。


 さらにルリちゃんの凄い所は200万人越えの登録者数だけじゃなく、今時の都会ギャルっぽい感じの容姿でめっちゃ可愛い女の子なんだ。俺の知り合いの配信、冒険者界隈の中だと一番可愛いといっても過言ではない。


 今まで沢山の女ダンジョンライバーとオフパコをしまくってきた俺としては、そんなめっちゃ可愛いルリちゃんとも絶対にオフパコをしたいと思っていた。というか彼女になって欲しいくらいだ。


 だから明日良かったら二人きりでご飯を食べに行こうって誘ってみたんだ。それで好きな高級装備品も買ってあげるメッセージを送っておいたんだ。


 それで恩を売ってそのままルリちゃんをラブホに連れ込んで朝までオフパコするつもりでいた。だけど……。


『すいません、明日は用事があるのでちょっと厳しいです……ごめんなさい!』

「え……って、は、はぁ? せっかく誘ってやったのになんで断るんだよ!?」


 それなのにルリちゃんからのLIMEのメッセージはまさかのお断りの返事だった。


 今まで誘ってきた女ダンジョンライバーはコラボ配信をやるとか、高級武器を買ってやるとか、有名な番組のスポンサーを合わせてあげるとか言ったら皆簡単に俺に付いてきてくれた。


 だから毎回俺は女ダンジョンライバーと毎回オフパコを楽しめていた。今の所オフパコ成功率は100%だった。それなのに今回俺は生まれて初めてオフパコを失敗してしまった……。


「くっそ! いやあんなチョロそうなギャルっぽい見た目してんのに……なんで断るんだよ!」


 俺はスマホの画面を見ながら滅茶苦茶にブチギレ始めていった。明日のルリちゃんとのオフパコのためにオナ禁もしてたってのに……はぁ、マジで最悪だわ!


 まぁでも俺は……。


『うん、わかった。それじゃあまた今度改めて別日に誘うね!』

『はい、わかりました。連絡ありがとうございます』


 でも俺がブチギレてるというのがルリちゃんにバレるのはスマートではないので、俺は敢て優しい口調でルリちゃんにそう伝えていった。


 まぁそもそもルリちゃんは同じダンジョンライバーだし交流する場面はこれからも多いはずだ。だからルリちゃんとオフパコする機会なんてこれから沢山あるだろうし今はそんな焦らなくても良いはずだ。


 だから今回はオフパコが失敗した事は素直に我慢する事にしよう。チャンスはまたすぐに訪れるはずだしな。


「はぁ、でも明日はマジでルリちゃんとオフパコしたかったのになぁ……それにオナ禁もめっちゃしてたからいつも以上にイライラするなぁ……って、あ、そうだ!」


 俺はルリちゃんとのオフパコが失敗した事でどんどんとイライラが募ってきてしまったんだけど、でもちょうど俺にはイライラ解消のサンドバッグが出来た事を思い出した。


 そのサンドバッグの名前はもちろん“ユウチャンネル”。俺のチャンネルに売名行為をしてきたクソバカ野郎だ。


 明日はルリちゃんとオフパコ出来ると思ってめっちゃ楽しみにしてたのに、それが潰れたという事でイライラに拍車をかけている状態だ。


 俺はそんなイライラを解消するためにも、俺に喧嘩を売ってきたこの“ユウチャンネル”を全力で潰す事を決めた。


 という事で俺はすぐさま大手匿名掲示板サイトである“9ちゃんねる”に移動し、そこでクソバカ野郎の“ユウチャンネル”についての情報を何度も自演しながら書き込んでいった。

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