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102話:これからもずっと一緒に

 キングワイバーンとの死闘が終わってからしばらくが経過した。


 ルリさんはあれからすぐに病院に行って検査を受けた。ルリさんは全身ボロボロだったけど、自身の上級強化魔法の効果のおかげで致命傷の怪我だけは免れていたようだ。


 そのおかげでルリさんは全治一週間ほどの入院で済む事が出来た。命に別条はなくて本当に良かったよ。


 それとスザクさんについてだけど、スザクさんはあの日すぐに逮捕された。ルリさんに対して行った様々な犯罪行為を全て認めており、今も毎日警察と冒険者ギルドの両方から取り調べを受けているらしい。


 何でスザクさんがルリさんに対して多くの犯罪を犯そうとしたのか僕にはわからないんだけど、まぁでもそこら辺の真相究明についてはきっと大人の人達が頑張って調べてくれるはずだから、そこら辺については大人の皆さんに任せる事にしようと思う。


 まぁそんな訳で今回のアストルフォの事件はルリさんが色々と酷い目に遭って大変だった訳だけど、でもそんなのを全てひっくり返す程の良いニュースが1つあった。


 今日はルリさんが病院から退院してから二週間が過ぎたとある土曜日。今日はいよいよ……。


「退院おめでとう、雪人!」

「うん、お姉ちゃん!」


―― ぎゅっ……!


 ルリさんは病院から元気よく出た来た雪人君をぎゅっと優しく抱きしめていった。


 という事で今日は雪人君の退院日だ。僕達が手に入れたあのエリクサーを雪人君に飲ませた事で、雪人君の不治の病はゆっくりと治っていったんだ。


 そして今はもう元気に走り回れる程に回復した事で、雪人君はようやく自宅に帰れる事となったんだ。


「雪人君、退院おめでとう! ようやく家に帰れる事になって良かったね!」

「おめでとう! 雪人君が元気になって良かったよ!」

「うん、ありがとう! ユウ君せんせーに浅香お姉ちゃん!」


 僕と浅香は雪人君に向かって退院おめでとうと伝えていくと、雪人君は嬉しそうな顔をしながら感謝の言葉を送ってきてくれた。


「元気になって本当に良かったよ。そして雪人君の病気も治った事だし、これで夢だった冒険者になれるね」

「うん! まだまだ病院に通ってリハビリとか検査とかやらなきゃいけないんだけど、そのリハビリとか検査とかが全部終わったら絶対に冒険者になるよ! だからどんなにリハビリとか大変でもちゃんと最後まで頑張ってみせるよ!」

「おー、それは良い心意気だね! よし、それじゃあ冒険者になるまでに出来る事は色々とあるからさ、だから冒険者になれるまではそういうの私と一緒にやろっか? 研磨とか調合とか私は得意だから色々手伝ってあげるよー!」

「本当に!? うん、それじゃあ色々教えて教えて! 浅香お姉ちゃん!」

「うん、もちろん良いよー!」


 そう言って浅香と雪人君は楽しそうに笑い合った。そしてその二人の様子を見ながらルリさんは優しく微笑んでいた。


「ふふ、いつの間にか雪人と浅香ちゃんはすっごく仲が良くなったわねー。本当に浅香ちゃんってすっごく良い子よね」

「そうですね。まぁ浅香は結構お姉ちゃん気質な所があるから、雪人君と相性が良いのかもしれませんね」

「そっかそっか。でもそうなると雪人のお姉ちゃん役は浅香ちゃんに取られちゃったって事かぁ……ちぇー。仕方ない。それじゃあ私は……ふふ、これからは愛の告白をしてくれたユウ君とずっと遊んでいくしかないよねぇ??」

「え……って、えぇっ!?」

「えっ!? お兄ちゃんルリさんに告白したの!? おー! お兄ちゃんやるじゃん!!」

「えっ、そうなの?? それじゃあユウ君せんせーは僕のお兄ちゃんになるって事!?」


 急にルリさんが変な事を言ったせいで、浅香と雪人君は目をキラキラと輝かせながら僕の事をじっと見つめてきた。


「えっ? あ、いや、そのっ! だ、だから愛の告白をしたという訳じゃなくて! ルリさんとはこれからも冒険者としてずっと一緒にいたいと言っただけというかその……!」

「あはは、お兄ちゃん顔が真っ赤だよー? そんなに焦らなくても良いじゃんー! 私はお兄ちゃんとルリさんはすっごくお似合いだと思うよー!」

「うんうん! 僕もお姉ちゃんとユウ君せんせーはすっごくお似合いだと思うよー!」

「ふ、ふぇっ!? い、いや、そ、それは、そのっ!!」

「あはは、ごめんごめんー。実は今のは私の冗談なんだよ。本当はユウ君にはこれからも一緒に冒険者として遊ぼうねって言われただけなんだよー」

「あ、なんだ。そうだったんですか? それは残念だなー。二人がお付き合いを始めたのかと思ってワクワクしたのにー。ちぇー、お兄ちゃんはヘタレだなー」

「ヘ、ヘタレって……そ、そもそもルリさんみたいな物凄く綺麗で素敵な人がこんな何処にでもいる普通の男子と付き合う訳がないでしょ……」


 浅香はジト目になりながら僕をヘタレだと言ってきたので、僕は焦りながらそんな反論をした。


「んー? 私は全然良いけどね?」

「えっ?」


 すると僕達の話を聞いてたルリさんはきょとんとした表情でそんな事を言ってきた。


 でも僕にはその言葉の意図が理解出来なかったので、すぐにルリさんにこう尋ねていった。


「え、えっと……ル、ルリさん? あ、あの? そ、それって……ど、どういう事ですかね?」

「んー? どういう事って……ふふ、どういう事だろうねー? ま、もしもユウ君が男らしくビシっと私に向かって“何か”を言ってくれるのであれば、私もそれに対してちゃんとビシっと返事を返すって事だよー?」

「え……って、ふぇぇええええっ!?」

「おー! ルリさん素敵っ!」

「おー! お姉ちゃんカッコ良いっ!」


 ルリさんは笑みを浮かべながらそんな事を言ってきてくれた。そしてその言葉を聞いた浅香と雪人君は先程よりも一層目をキラキラと輝かせながらルリさんの事を見ていった。


「えへへ。いやいや、それ程でもないよー。という事でどうかなー? ユウ君ー??」

「えっ!? ふ、ふえっ!? あ、そ、それは……その……あ、うっ……」


―― ぷしゅぅ……


 僕は顔を真っ赤にしながら大慌てでしどろもどろになっていってしまった。するとそんな僕の大慌てな様子を見て浅香はため息交じりにこう言ってきた。


「あー、こりゃ駄目ですねルリさん。お兄ちゃん突然の出来事すぎてショートしちゃいましたよ。やっぱりヘタレだなぁ……お兄ちゃん」

「あはは。まぁ突然過ぎるししょうがないね。まぁでも私はいつまでもユウ君の事を待っててあげるからさ……だからもしも私に言いたい事があったらいつでも言ってね? 私はいつまでもユウ君の事を待っててあげるからさ」

「え……って、え? あ、そ、それはえっとその……」

「シャキっとしなさい!! お兄ちゃん!!」

「あっ、は、はい!! ちゃんと伝えます!!」

「うん、わかったよ。それじゃあ私はそれまでのんびりと待つ事にしておくね。それと、ありがとね、浅香ちゃん」

「いえいえ! 不出来な兄の事を今後ともよろしくお願いしますね! ルリさん!」

「うん、もちろんだよ。ふふ、こちらこそ今後ともよろしくね」


 そう言いながらルリさんと浅香は楽しそうに笑い合っていった。そしてそれからすぐにルリさんは僕の方に振り返ってきてこう言ってきた。


「よし、それじゃあこの話はこれくらいにして……ここからが本題! 実はユウ君に一つお願いがあるんだけど、良かったらそのお願いをちょっと聞いてもらえないかな??」

「え? あ、は、はい! 僕で出来る事なら何でもやりますよ! 一体何でしょうか??」

「うん、ありがとう。えっとね、私の怪我も完治した事だし、そろそろダンジョン配信を復活しようと思っているんだ」

「えっ! ついにルリさんもダンジョン配信を復活するんですか! それは嬉しい報告ですね!」

「おー、それは朗報だ! これは雪人君も嬉しいよね??」

「お姉ちゃんのダンジョン配信久々に見れるの!? うん! すっごく嬉しいよ!!」

「皆にそう言って貰えると嬉しいな。だけど前回色々とあって怪我をしちゃったりもして、流石に復帰初日に一人でダンジョンに行くのはちょっと不安だからさ……だからユウ君に私と一緒に明日のダンジョン探索に行って欲しいなって思うんだけど……そんなお願いは出来るかな?」


 ルリさんは伏し目がちになりながらそんなお願いをしてきた。それは一緒にダンジョン探索をしようというお誘いだった。そんなのはもちろん……。


「はい、もちろん一緒に行きますよ! ルリさんとはこれからもずっと一緒に冒険しようって約束しましたからね! だからルリさんからの冒険のお誘いは必ず一緒に行かせて貰いますよ!」

「ふふ、そっかそっか。それなら良かったよー」

「おー、それじゃあ明日は久々にルリさんとお兄ちゃんのコラボ配信が見れるんですね! あ、そうだ! それじゃあ雪人君さ、明日は私と一緒にお姉ちゃん達の配信を見ようか?」

「えっ!? 良いの!? うん! 浅香お姉ちゃんと一緒にコラボ配信見たい見たい! 一緒に見ようね、浅香お姉ちゃん!」

「ふふ、雪人の事を気遣ってくれてありがとうね浅香ちゃん。それじゃあ明日はファーストライブの事務所の自由室を空いてるから、二人はそこで配信を楽しんでくれて良いわよ」

「えっ!? ファーストライブの事務所にお邪魔しちゃって良いんですか!? わわ、それは嬉しいです! それじゃあお土産持ってお邪魔させて貰いますね!」

「うん、わかったよ! それじゃあ私達も明日は浅香ちゃんと雪人にすっごく楽しんでもらえるようにダンジョン配信を頑張って来るね!」


 ルリさんは浅香に向かって元気良くそう言っていった。そしてそれからすぐにルリさんは僕の方に振り返ってきてこう言ってきた。


「よし、という事でそれじゃあユウ君! 明日も一緒に楽しくダンジョン配信よろしくね! そしてこれからもずっと……ずっと仲良く一緒によろしくね!」

「はい、もちろんです! これからもずっと仲良くよろしくお願いします!」


 僕達は共に笑いながら明日も一緒に冒険をしていく約束を交わしていった。明日も一緒に冒険が出来るなんて本当に嬉しい限りだよね。


 そして僕とルリさんはこれからもずっと一緒に仲良く冒険をしていきながら……これからもずっと一生を共に仲良く過ごしていくのであった。


【完】

・あとがき


これにて本編は終わりとなります。

ここまで読んで頂いた皆様、本当にありがとうございました。

それと途中で更新が滞ってしまい本当に申し訳ありませんでした。


本編はこれで終わりとなりますが、ここからは暇な時にちょこちょことオマケの話を投稿する予定です。


ただ小説家になろうさんでは一旦完結ボタンを押してしまうと再度投稿するのが出来なくなる仕様があるそうなので、オマケの話はカクヨムさんの方で暇な時に投稿していく予定です。

なのでオマケも気になる方は是非ともそちらのチェックもして頂けると嬉しい限りです。


という事で最後に改めまして、ここまで読んで頂き本当にありがとうございました!

そしてこれからも色々な小説を投稿し続けていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
完結ボーナスは最初の一回目だけとかそんな制限じゃなかっただけでしたっけ。 完結したした詐欺を繰り返してランキング操作するセコい輩対策といいますか。
完結おめでとうございます。 面白かったです、良い物語をありがとうございました。 完結、未完結は設定で変えられるので続編もこのまま投稿できたはず?続きがあるなら読みたいです。
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