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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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97/220

97ーニークがいない

 さて、無事に4層にある精霊樹を浄化してヒールもした。だが、精霊女王の手掛かりは掴めずにいる。

 翌日、早速次の3層に向かうのかと思いきや。


「にーくしゃん、元気かな?」

「そうね、近いし寄って行きましょうか」


 ニークに会って行くらしい。そこで、長老の転移だ。

 この時間だともう店にいるだろうと、検討をつけて店の裏庭に転移してきた一行。


「あら? まだ閉まっているわね。どうしたのかしら?」


 肝心のニークがいない。店をまだ開けていないんだ。

 アヴィー先生が、鍵を開けて裏口から入って行く。そして表に回り、入り口に貼られた紙を見つけた。


「あら、ニークったら……」

「アヴィー先生! アヴィー先生じゃないか!」


 目敏くアヴィー先生を見つけて、女の人が声を掛けてきた。近所の女将さんらしい。エプロンをつけている。


「まあ、女将さん。お久しぶりね、腰はどう?」

「お陰様でね、ニークが出してくれる薬湯と塗り薬で毎日元気に動けているさ」

「それは良かったわ。でも、無理しちゃ駄目よ」

「ありがとうね。それより、ニークがいないから今日は薬が貰えないかと思っていたんだ」

「あら、私が出すわね」


 そこにヒョッコリとハルが顔を出した。


「おやまあ、曽孫も来ているのかい? 可愛いねぇ」

「おかみしゃん、にーくしゃんは?」

「街外れにある厩舎だよ。あそこで馬の赤ちゃんが産まれたんだ」

「馬の赤ちゃん!?」


 なんだって? ニークは馬のお産にまで立ち会うのか? ハルの目がキラキラしてきたぞ。


「ニークったら、馬のお産まで?」

「違うよ、何考えてんだよ。アヴィー先生ったら相変わらず早とちりだね」


 あらら、言われちゃった。アヴィー先生は少しそそっかしい。

 その馬の赤ちゃんが産まれた厩舎。そこのオーナーさんの奥さんがお産なのだそうだ。


「最初は気丈に馬のお産に立ち会っていたんだ。だけど今度は自分も産気づいたらしくてね。念の為、ニークが行っているんだよ」

「そうなのね」


 女将さん、事情通だ。よくそんな事を知っているものだ。


「女将さん、薬湯と塗り薬のどっちがないの?」

「両方もらえるかい?」

「分かったわ。今から作るから出来たら持って行くわね」

「いいよぉ。直ぐ近所なんだから、また時間を見て取りに来るよ」

「そう?」


 女将さんは、ハルの頭を撫でて元気に駆け足で帰って行った。腰を痛めている様には見えないぞ。


「持病みたいなものなのよ。ちょっと無理しちゃうと腰にくるみたい」

「ばーちゃん、いくじょ!」


 おや? ハルちゃん、どうした? 張り切って拳を上げている。もう片方の手を、ポヨンポヨンしたお腹に……では、なく。腰に手を当てている。


「ハル、どこに行くんだよ」

「りひと、決まってりゅ! にーくしゃんとこに行くんら」

「だってハルちゃん、ニークはお産に立ち会っているのよ」

「けろ、馬の赤ちゃんもいりゅんらろ? 見たいじょ!」


 ああ、目がキラキラしていたと思ったらそこに興味を持ってしまったか。

 ハルちゃん、本当の目的を時々忘れてしまうよね。


「ハル、次は3層に行くんだぞ」

「分かってりゅ。けろ見たいじょ」


 そんな話を店の奥でしていると、次から次へとお客さんがやって来た。


「アヴィー先生、帰ってんだって!?」

「はいは〜い!」


 アヴィー先生が店に出て対応している。

 どうやらアヴィー先生目当てらしい。さっきの女将さんが話したのだろう。


「ルシカ、ちょっと手伝ってちょうだい」

「はい、分かりましたよ」


 アヴィー先生1人では、手が足らなくなってしまったらしい。


「こうなったら、暫くアヴィーは動けんな」

「な、じーちゃん。しょの間にいこう!」


 ハルちゃん、君も調薬できるよね? 手伝わずにアヴィー先生とルシカは置いて、自分は馬の赤ちゃんを見に行くと。ちゃっかりしている。


「らって見てー。超見てー」

「仕方ないな、行くか? でもハル、直ぐに戻って来るぞ」

「じーちゃん、分かっちゃ」


 もう早速出掛ける準備をしている。


「アヴィー、ハルが馬の赤ちゃんを見たいと言うんだ」

「あら、そうなの?」


 長老が、店に顔を出すと……


「おや、アヴィー先生の旦那さんだ」

「イケメンだね〜」

「さすがだね〜」

「見惚れちゃうね〜」


 などと、奥様達がコソコソと話している。丸聞こえなんだが。


「店の前の道を街外れに向かって真っ直ぐよ。馬だったら直ぐだわ」

「そうか。ちょっとハルを連れて行ってくる」

「ええ、ゆっくりして来てもいいわよ」

「そうか?」

「暫く離れられないわ」

「ルシカはこのまま手伝うか?」

「はい、私は残りますよ。ああ、そうだ。ハル」

「なんら?」

「もし何か珍しい食材があったら買ってきて下さい」

「おう! 分かっちゃ」

「イオス、頼みますね」

「了解」


 結局、アヴィー先生とルシカ以外の全員で行く事になった。


「ハルちゃんが行くなら、当然あたしは行くわよ」

「馬の赤ちゃんかぁ、初めて見るわぁ」


 そうだろう。まさかシュシュとカエデが残るとは言わないだろう。なにしろ、ハルちゃんのファンクラブ会員なのだから。

 そして、馬に乗って移動する。ハルはご機嫌だ。


「おうまのおやこは、なかよしこよし〜。いちゅれもいぃっしょにぽっくりぽっくりあ〜りゅ〜くぅ〜♫」

「ハルちゃん、お馬さんの歌なんか?」

「しょうら。ぱっぱかもありゅんら」


 歌が出るほど、ハルはご機嫌だ。


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