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9ー4カ国協定

「おばば様か……なるほど、それは良い」

「良いところを思いついたわね」

「な、じーちゃんばーちゃん、しょうらろ?」

「確かにそうね、ハルちゃん」

「なら、取り敢えず一度リヒトの実家に寄るか」

「長老、そうしてくれ。父や母がうるさいんだ」

「何がだ?」

「ハルを連れて帰って来いってうるさいんだよ」

「アハハハ、奴等か」

「長老、あの子達再教育しなきゃ駄目かしら?」


 おやおや、長老とアヴィー先生に掛かると、リヒトの両親でさえも『奴等』に『あの子達』だ。最強の夫婦だ。


「じーちゃん、とーしゃまとかーしゃまのとこか?」

「そうだ。リヒトの代わりを頼まないとな」

「らから、おりぇとしゅしゅとこはりゅで行くじょ!」

「ハル、それは駄目だ。じーちゃんも付いていくぞ」

「あたしもよ!」

「アヴィー……」

「何よ、長老」

「だからアヴィーには別の仕事があるだろう」

「そんなの後で良いわよ」


 いや、駄目だろう。そんな扱いをされていると知ると、アンスティノス大公国の大公が悲しむぞ。頼りにされているというのに。


「アヴィー、アンスティノスに行くときは声を掛けるさ」

「えぇ~……」

「これ、アヴィー」

「分かったわよぅ。シュシュ、ハルちゃんをお願いね」

「任せなさいよぅ~! ずっと側にいるわよ!」


 シュシュもケーキを食べていたらしい。ピンク色したお鼻に生クリームが付いている。

 そして、リヒトの実家へとやって来た一行。突然だったにも関わらず、熱烈な歓迎を受けている……ハルがだ。


「ハル! 元気にしておったか!?」

「ハルちゃん、もっと帰って来れないの!?」

「ハル! 昼食を一緒に食べような!」


 リヒトの父、母、兄だ。ハルちゃんさっきケーキを食べちゃったばかりだ。


「とーしゃま、かーしゃま、にーしゃま、たらいま~!」


 おう、可愛い。ちびっ子らしい可愛さだ。

 ハルが3人に向かって駆けていくと3人共手を広げた。


「父様が抱っこしてあげようなッ」


 フェイントして、誰よりも一歩先に前へ出てハルを抱き上げたリヒトの父。


「あなた! ズルイですわッ!」

「父上! 私が抱っこしますッ!」


 ああもう誰でもいいじゃないか。

 ハルは父に抱っこされ邸の中へと入って行く。これでもリヒトの父は現皇帝の弟だ。


「ほら、これだよ」

「ハハハハ、リヒトも大変だなぁ」

「長老、本当だよ」


 さてさて、今日はそんな事じゃないだろう。


「またですか!?」

「どうしてハルちゃんばかりなのですか!?」

「ハル、嫌なら断っても良いんだぞ」


 長老から精霊王の話を聞いてリヒトの父達が驚いている。


「精霊王様からの依頼だぞ」

「あ……それは……まあ」


 ほら、精霊王直々の頼みなんだ。無碍にはできない。


「リヒト、必ず守りなさい。また危険な目に合わせたりしちゃ駄目よ」

「母上、分かってます。ですのでベースを……」

「ああ、またミエークに頼んでやるさ」


 ミエークとは、リヒトの従兄弟だ。父の弟の長男でミエーク・シュテラリールという。リヒトの実家が本家でミエークの家は分家にあたる。家もお隣さんだ。前回もリヒトが留守の間、ベースの管理者代理を任せていた。

 今度もまたそのミエークに任せるのだろう。


「ハルちゃん、その精霊樹ってどこにあるのか分からないんでしょう?」

「かーしゃま、しょうなんら。けろ、1本だけわかりゅ」

「まあ、どこにあるの?」

「どりゃごしおんのおばばしゃまんとこら」

「じゃあ、まずはドラゴシオンに行くのか?」

「父上、そうなるかと」

「ドラゴシオンなら安心だ」

「そうね、協定を結んでいる国ですものね」


 リヒトの母が言う協定とは、エルヒューレ皇国、ドラゴシオン王国、ツヴェルカーン王国、セイレメールの4ヶ国の間に相互協力及び安全保障協定が締結されている。

 4ヶ国間は対等であり、平時は過度な介入をお互いにしない。

 何れかの国が有事の際はお互いに協力を惜しまないというものだ。

 セイレメールからは各国に結界やエレベーター等の技術提供と、鉱石と海産物の提供を。

 ツヴェルカーン王国からは、武器や防具等のドワーフが持つ技術提供と食料を。

 ドラゴシオン王国からは、瘴気を吸収する魔石の提供や設置と食料を。

 エルヒューレ皇国からは、それらの輸送に関する技術提供を。所謂、マジックバッグ等の提供だ。そして、瘴気を吸収する魔石の設置やメンテナンスと食料を。

 各国が出来る事を提供し、万が一何かがあった時には協力を惜しまないと協定が結ばれた。

 アヴィー先生が今アンスティノス大公国に滞在しているのはこれが原因でもある。

 魔物がこわしたアンスティノスの2層と3層の街を各国が協力して復興した。エルフ族だけでなく、ドワーフ族やドラゴン族まで協力して街の設計から作り直したんだ。その設計を担当したのがフィーリス第2皇子だ。

 上下水道から設計し木々や花を増やし精霊が住みやすい街へと修復されたんだ。

 なのにだ、未だに協定を結んでいない。ヒューマンの貴族達が難色を示しているのだ。

 自分達の街や家を修復してもらっておきながらだ。

 その相談を大公に受けているのがアヴィー先生だ。


「本当に意味が分からないわ」


 とは、アヴィー先生だ。確かに、街の修復を頼んでおきながら協定には加わりたくない。

 なんて、自分勝手な言い分だ。それを、アヴィー先生は色んな貴族の意見を聞き話をしている。

 実際にハイエルフであるアヴィー先生と直接話したら、気持ちも変わるかも知れないと大公の淡い期待をアヴィー先生は引き受けているのだ。

 ヒューマンと、ハイエルフであるアヴィー先生との間には、目には見えなくても確実に能力の差がある。それを会った時に痛感するくらいにだ。それで理解してもらおうという事らしい。

 なにより、ここまで全面的に復興をしてもらっておきながら、アンスティノス大公国が協定に加入しない等という選択肢はあるのか? という話しだ。


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