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8ー決まってりゅ

「アヴィーは復興や協定の件でする事があるだろう?」

「大丈夫よ。だって私がいたってヒューマンの考えは変わらないわ」


 アヴィー先生のいう考えとは、ヒューマン至上主義だ。それが根強く残っている。現大公は獅子の獣人だ。

 現大公である獅子の獣人アサド・ロワレーヴェと、熊獣人で大臣のウルクダ・ドップベール。この2人が例の魔物襲撃の後ヒューマン至上主義の大臣達を更迭した。アンスティノス大公国はヒューマンと獣人が交代で大公の座につく国だ。なのに、獣人への差別も根強く残っている。そんな事を少しでも無くそうと現大公は頑張っている。

 それに、アヴィー先生が手を貸しているらしい。

 エルフは長命種だ。ヒューマンや獣人が想像もできない長い時間を生きる。そのエルフにとっては種族など大したことではないらしい。

 だから、人種差別や種族差別といった概念自体を持たない。そして、差別意識の強いヒューマンがエルフより秀でている部分がない。その為、何をどう考えたらそこまでヒューマン至上主義になるのかが理解できないのだ。

 アヴィー先生は、長くアンスティノス大公国で実際に生活をしていた。その経験からまだ予想はつけられる。だが、理解はできるものではない。

 エルフは元々の考え方が違うのかも知れない。長く時を生きる者。百年足らずで生を終える者。感じる事、考える事は違うのだろう。


「此処で言い争っていても仕方がないわ。部屋を移動しましょう。ハル、美味しいケーキを用意してあるのよ」

「ケーキ!?」

「ええ、食べましょうね」

「あい、ありがちょごじゃましゅ!」


 ハルちゃんが、食べ物で釣られちゃった。皇后に抱っこされてご機嫌で部屋を出て行く。それを追う皇帝に皇子や長老達。


「もう、ハルちゃんったら」

「だが、アヴィー。あれは気をつけんとまた1人で『冒険に出る』とか言い出しかねんぞ」

「本当よね。それは絶対に駄目だわ」

「ハルはそっくりだな」

「あら、リヒト。誰にどこが似ているのかしら?」


 リヒト、だからどうして自分から地雷を踏みに行くんだ?


「リヒト様、しっかりして下さい。ハルを1人でなんて行かせられませんよ」

「ルシカ、もちろんだ」


 さて、場所を移動してみんなで皇后の用意したケーキを食べている。


「超うめー」

「ハル、沢山あるわよ」

「あい、ありがちょごじゃましゅ」

「ああ、ハルは可愛いのぉ」

「陛下、こぼしますよ」

「あ? ああ、すまん」

「ハル、こっちのも美味しいのだぞぅ」

「しょっか?」

「僕のを一口あげるのだぞぅ」

「ありがちょ」


 いそいそとハルの世話を焼くフィーリス殿下。ハルは子供用の座面が高くなった椅子にちょこんと座っている。そのハルの隣をフィーリス殿下が陣取っている。


「今回の冒険は僕も一緒に行きたいのだぞぅ」

「ふぃーれんか、しょれはらめ」

「駄目か?」

「ん、らめ。こりぇ、うめーな」

「そうだろう、もう一口食べるか?」


 どっちが年上なのか分からないが兄弟の様だ。


「ハル、アンスティノスのどこら辺だと思う?」

「え、じーちゃん。あんしゅてぃのしゅか?」

「違うのか?」

「ほら見ろ、長老」

「なら、リヒト。どこか分かるのか?」

「いや、分かんねーけどさ」

「ハル、どこに行くつもりなんだ?」

「らってじーちゃん、しぇいれいと言えば決まってりゅ!」

「決まってる?」

「おばばしゃまんとこら!」


 おっと、そう来るか。おばば様とはドラゴシオンの長老的存在だ。白龍王の直系だが、長生きしているので皆からおばば様と呼ばれている。ハルが精霊を見る事ができるようになったのも、このおばば様のお陰だ。


「なるほどな、おばば様か」

「しょうら。しょれしかねー」

「ハル、おばば様に協力してもらうの?」

「しょれは分かんねー。けろ、おばばしゃまの家の庭に精霊樹があったじょ」

「なんとッ!?」


 驚いた。ハルはそんな事をいつの間に確認していたのか!?


「長老、アヴィー、気付いていたか?」

「いえ、陛下。まったく気付きませんでした」

「私もです」

「ふふん、おりぇはちゃんと見てたんら」


 ハルちゃん、ちょっと自慢気だ。


「ハル、本当なのか?」

「じーちゃん、本当にあったじょ。きりゃきりゃしてた」

「そうなの? ハルちゃん」

「ん。ばーちゃん。こりぇ、うめー」

「ハル、もっと食べるのだぞぅ」


 なかなか話しが進まない。ハルちゃん、じれったいぞぅ。


「おばばしゃまに精霊をみりゃれりゅ様に教えてもりゃった時にな、庭の木の1本がきりゃきりゃして精霊がいっぱいいたんら。きっとありぇが精霊樹ら」


 ほう、なるほど。それならそうかも知れない。なんせ、ハルしか精霊を見る事ができない。

 その昔、ずっとずっと昔。まだエルフが地上に生まれたばかりの頃はエルフ達も精霊を見る事ができた。だが、エルフは世界中の瘴気を浄化して回った時に無理をしてしまった。瘴気を浄化する魔石を設置した時にもだ。そして瘴気を沢山浴びてしまった。

 その時の無理が祟って、精霊を見る事ができなくなってしまった。

 魔力量が多ければ、本当は見える筈なんだ。なのに、今もエルフは見る事が出来ない。

 だがエルフは皆、精霊魔法を使う。そして、見えもしないし声を聞くこともできないが精霊を信じている。エルフはずっと太古から大事にしてきたんだ。

 世界樹を精霊樹を、そして大森林自体をだ。


読んで頂きありがとうございます。

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