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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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57ー植えておこう

 ハルがお昼寝から起きて、皆でおやつタイムだ。今日はルシカ特製のクレープだ。

 たっぷりの生クリームにいちごが入っている。ハルが食べやすい様に手で持てる様にクルクルと丸めて包んである。

 歩きながら食べるクレープみたいにだ。


「んめ……」

「ハルちゃん、美味しいわね」

「美味しいなのれす」

「自分も巻いたんやで」

「上手にできているじゃない」

「ミーレ、お前できないのに偉そうだな」

「なによ、イオス」


 ハルちゃんのほっぺに生クリームがついている。手に持って齧り付いているのに、それでもほっぺにはついちゃうらしい。

 ああ、シュシュのピンク色したお鼻にも生クリームがついているぞ。


「エルフさんはよぉ。美味いもんばっか食べてんだな」


 トーマスさんもクレープに齧り付いている。


「りゅしかのおやちゅはんめー」

「あ? あんだと?」


 理解できないらしい。


「トーマスさん、生のままのアンスイールを何匹か頂けますか?」

「燻製じゃなくていいのか?」

「ええ。燻製は国でも買えますから」

「おう、好きなだけ持って行きな! ブラックガネットを退治してもらった礼だ!」

「トーマスさん、いかんな。代金はちゃんと支払うぞ」

「長老、そんな訳にいかねーぞ! 世話になってばかりじゃねーか! それは譲れねーな!」

「アハハハ、そうか? なら甘えるとしようか」


 その日はまたトーマスさん家でお世話になった。翌日朝から出立する一行を、見送るトーマスさん一家。


「また、来てくれ! いつでも歓迎するぞ!」

「世話になったな」

「おう。またな!」

「ちびっ子もまた来るんだぞ」

「ちびっ子じゃねー」

「アッハッハッハ! ハル! またな!」

「おー、あんがちょ」


 そして、一行は湿地帯の中を奥へと進む。この湿地帯には精霊樹が1本生えていた。だが、ブラックガネットが魔物化していた事もあり、奥に精霊樹の実を植えようという事だ。

 ハルがいつもの様にリヒトの前に乗っている。チョコンと。今日はそのハルの前にコハルも出ている。


「コハル先輩が出ているのに、あたしはまだ小さいままなの? 理不尽だわ」


 白い奴が小さいままでミーレに抱っこされながら文句を言っている。


「だってシュシュは目立つでしょう? 真っ白だし大きいし」

「そうなのよぅ。あたしってほら綺麗だからぁ気品があるって言うのかしらぁ……」

「長老、どこまで行くんだ?」

「また、リヒトったら最後まで言わせてくれないんだからッ!」

「もう少し、先に行くとしっかりとした陸地があるんだ。そこに植えようと思ってな」


 なるほど。ワールドマップで長老は見ているんだ。ハルは?


「朝飯のあんしゅいーりゅのリゾットも超うまかった」

「ハルは食う事が最優先だな」

「美味しかったなのれす」

「食う事はらいじらじょ。超らいじ」


 ハルもそろそろワールドマップを使えるようになろう。


「ハル、見て見なさい」

「じーちゃん、わーりゅどまっぷらな」


 ハルがまた両手を胸に置いて目を閉じる。そのお手々は標準装備なのか? オプションではないのだな。


「ん、わかんねー」

「アハハハ。ハルはまだ行った事がない場所ばかりだからな」

「しょうら」


 そういう問題なのだろうか? 確かに、ワールドマップは行った事がある地は詳細に表示される。逆に行った事がない地は大まかな地形のみだ。その所為なのかも知れない。

 しばらく馬で進むと、木立が見えてきた。湿地帯が少なくなり、緑が増える。

 まだまだ低木で若木だが、ちゃんと林のように育っている。

 逆に高い木が無いという事は、ブラックガネットの様な危険な鳥は普通はいないという事だ。そんな場所に現れたブラックガネットだった。


「この辺りでどうだ? コハル」

「いいなのれす」


 コハルがフワフワと浮いて移動する。そして、どこからかクリスタルのりんごの形をした精霊樹の実を取り出した。


「植えるなのれす」


 コハルが取り出すとクリスタルの実はフワリフワリと地面へと吸い込まれて行く。


「どんどん植えるなのれす」


 幾つもコハルが取り出しては地面に吸い込まれを繰り返す。


「長老、頼むなのれす」

「よし」


 長老が魔法杖を出し地面を軽く小突いた。グリーンにゴールドが煌めくオーヴのついたエンブレムの魔法杖だ。それを掲げながら詠唱する。


「ピュリフィケーション……ヒール」


 辺り一帯に白い光のヴェールが降りて来て消えて行く。すると、精霊樹の実から目が出てムクムクと育ち若木へと成長していく。

 何度見ても、幻想的な光景だ。


「ひぽ」

「ぶもも」


 お久しぶりのヒポポだ。ずっとハルの亜空間の中にいた。流石に出ては来れない。出てもヒューマンや獣人には普通は見る事ができない。


「ぶももぶも」

「しゃーねーんら。ごめんな」


 ハルがヒポポを撫でている。文句でも言っているのだろうか。


「ハル、何と言っているんだ?」

「じゅっと出れなかったかりゃっていってりゅ」

「それは仕方がないな」

「ん。けろ、ごめんな」

「ぶも」


 納得したらしい。さて、ヒポポ。


「ヒポ、しぇいれいじゅうはいりゅか?」


 任せておけと言うかの様に、数歩前に出るヒポポ。


「ぶもぉッ」


 ヒポポが一鳴きすると、たった今植えて若木になったばかりの精霊樹からワラワラと小さな精霊獣が出てきた。


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