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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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36ー次の領地

「ハル、無いなら植えるか?」

「じーちゃん、しょうらな! こはりゅ」

「はいなのれす」


 ハルの胸のところから、ヒョコッと顔を出すコハル。ヒューマンの国では用心しているんだ。


「こはりゅ、植えりゅか?」

「もっと林に入ってからの方が良いなのれす」

「よし、分かったぞ」


 長老を先頭に、一行は林に向かって進路を変える。すると、近くの建屋の表に出ていた1人のヒューマンが話しかけてきた。


「あんた達、旅の人か?」

「そうだが」

「林には入らないほうがいいぞ」

「どうしてだ?」

「最近イノシシや熊が出るんだ」


 リヒトが対応していた。そんな話を聞くと一応は疑っておく。危険がないかも確認だ。


「魔物じゃないんだな?」

「それが、わからないんだよ」

「分からないのか? どうして?」

「ハッキリ見た者がいないんだ」


 ハッキリ見た者がいないのに、どうしてイノシシや熊だと分かるんだ?


「糞と爪痕だよ。大きいんだ」

「なるほどな。ありがとう、でも大丈夫だ」

「そうなのか?」

「ああ、俺達は強いからな」

「そうなのか!? なら退治できんのか!?」

「ああ、見つけたら退治しておくさ」

「そうじゃないんだ。ちょっと悪いけど領主様に会ってくれねーか?」


 領主だと? リヒトは長老に判断を委ねる。


「ワシ等はこの先の領地に用事があるんだ。そのついでにと思っておったんだが。何故、領主なんだ?」

「困ってんだよ。木を伐採できないと俺達の仕事になんねーんだ。死活問題だ」


 その男が言うには、木材を加工した収益がメインの領地らしい。なのに、その原料となる木材を伐採できないでいる。確かに被害はまだ出ていないが、伐採担当者が話すには先にも聞いた大きな爪痕とイノシシなのか熊のものかは分からないが糞が落ちているのを発見したのだそうだ。

 それからは、皆怖がって林に入ろうとはしない。今はまだ林の中だけだが、万が一人が生活している範囲内にまで出没する様になるのではないかと、皆不安に思っているらしい。


「だからな、本当に討伐してくれんなら領主様から礼金が出るんだ」


 なるほど。しかし、リヒト達は冒険者でもないのだが? だが、ヒューマンの冒険者より格段に強い。


「長老、どうする?」

「そうだなぁ。お前さん、領主邸は遠いのか?」

「そんな事ないぞ。馬ならすぐだ」

「そうか、ならリヒト。顔を出しておくか」

「おう」

「すまないな、助かる。俺が案内するよ」

 

 案内をしてくれるその男は木材を加工する工房の親方さんなのだそうだ。


「おー、おやかちゃ」

「なんだ、ちびっ子。めちゃくちゃ可愛いな。よく見たら兄さん達も超べっぴんじゃないか」


 女性はミーレとカエデだけなのに、『べっぴん』とはどうだろう?

 ハルが想像している『親方』とは、きっとドワーフのあの親方だろう。

 ハルとカエデの短剣を作ってくれた、豪快で気のいいエルダードワーフのヴェルカー親方だ。


「おやかちゃのとこも行きてーな」

「そうだな、元気にしてるかな?」

「そりゃ、あの親方なら元気だろう」


 呑気な話しをしている。精霊樹は世界の瘴気を浄化する。その精霊樹が元気なのかどうかを確認し、そして行方不明の精霊女王を見つける事。

 結構、大変な事なのだと思うのだ。なのに、ハル達はいつも通りだ。それが良いのかも知れない。


「えぇッ!? 兄さん達、エルフだったのかよッ!?」


 領主邸に到着して皆が被っていたフードを取った時の親方さんの反応だ。まさか、エルフだとは思わなかったらしい。


「俺はてっきりどっかの冒険者かと思って声かけたんだ」

「これはよくお越し下さいました! 本当に困っていたのです。お力をお借りできませんか?」


 と、領主も言っている。本当に困っていたのだろう。

 リヒト達はいつも大森林の大きな魔物を相手にしているが、ヒューマン達は違う。魔物じゃなくても大型の獣だったとしても命に係わってくる。それ程、力の差は明らかだ。

 何しろ、あの大森林を守っている種族なんだ。しかも、リヒトはその中でも5本の指に入る強さだ。普段の言動からはそうは思えないのだが。


「話は聞きました。お役に立てるのなら討伐しましょう」

「有難うございます! 感謝致します。仕事が出来なくて困っていたのですよ」


 じゃ、ちょっと行ってきます的なノリで一行が討伐に出ようとしたところ、領主に止められた。


「今から行かれるのですか!? もう昼も過ぎておりますが?」

「あ、しょうら。じーちゃん、腹減ったな」

「ハル、そうか?」

「ん」

「ハル、林に入ったら食べましょう」

「りゅしか、しょう?」

「はい」

「いやいや、林の中で等危険ですぞ!」

「ああ、大丈夫だ。心配いらんよ」


 じゃ、と一行は出てきた。領主さんが心配してくれていたよ。


「りゅしかの飯ならなんれもいいじょ」

「なら、余計に林に入ってしまう方が良いですね」

「おう」

「なんれら?」

「急に訪問したのに、お昼を出してもらうのも悪いでしょう?」

「しょっか」

「はい、そうですよ」


 それなりに気を使ったらしい。突然だったしね。

 また馬でパカパカと林を目指す。長閑な領地だ。建屋が並んでいたのは、職人街といったところか。あとは、普通に各家々に小さな畑がある。麦畑の様な大規模なものはないが、民家と畑と同じ位にある。お昼の匂いが各家からし、空は薄い雲が浮かぶ程度の良い天気だ。

 道も大きな街道は舗装されているが、後は土がむき出しだ。田舎の風景といった感じか。


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