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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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32/220

32ーまた1本

 ハルがお口をいっぱいにして大福を食べている。


「あたちも食べるなのれす」


 おや、コハルが出てきたぞ。


「コハルもどうぞ」

「こはりゅ、うめーじょ」

「いたらくなのれす」


 ほっぺをプックリと膨らませて食べるコハル……と、ハル。


「アハハハ。本当に無邪気で可愛らしい」

「うんめー! こりぇもしりょ餡なんらな」

「はい、白餡は何にでも合いますね」

「いちじくもうめー」

「そうでしょう? こちらで捥ぎ立てですから新鮮でジューシーでしょう?」

「ん。超うめー」

「どうぞ、ハルの様にパクッと齧り付いてください」

「では、失礼して」


 みんなもうルシカの作る大福は美味しいと分かっているから、とっくにモグモグと食べている。


「まじ、うめー」

「ハル、食べたら精霊樹を見に行くぞ」

「じーちゃん、わかっちゃ。りゅしか、もう1個食べてもいい?」

「ハル、お腹は大丈夫ですか?」

「ハル、食べすぎなんじゃない?」

「みーりぇ、らって美味いんら」

「あと1個だけですよ」

「やっちゃ」


 ハルちゃん、本当に気に入ったんだね。大福を2個もペロリと食べてしまった。満足なのだろう、お腹に手をやりながらゲップが出てしまったね。


「ケプッ……腹いっぱいら」

「そりゃそうだろ」

「りひとは何個食べたんら?」

「俺は1個だぞ」

「ふふん、おりぇは2個ら」


 自慢気に短い指を2本立てている。どこが自慢になるのだろう?


「食い過ぎだろ?」

「しょんなこちょねー。しゅぐに腹減りゅんら」

「はいはい、分かったよ」


 相変わらず、兄弟みたいだ。


「ありゃ、かえれは?」

「ああ、ご家族と一緒だ」

「しょっか」

「ハル……」

「ん? りひとなんら?」

「いや、カエデがいないと寂しいかと思ってな」

「らいじょぶら。もろってくりゅんらろ?」

「ああ。次に向かう時までには戻ってくるぞ」

「じゃあいい」


 以前はカエデがいないと『ちゅまんねー』と言って拗ねていたのに。少しは成長したか?


「かえれは見えねーし」

「そうだな、獣人の魔力量では無理だな」

「らろ。1人見られなくて、ちゅまんねーかと思って」

「そんな事はないだろう」

「りひと、しょう?」

「ああ、そんな事気にすんな」

「ん、わかっちゃ」


 ハルなりに気を使っていたのか?


「ハルちゃん、今度はあたしが乗せてあげるわ」


 ここにも気を遣わなければならない奴がいたぞ。ヒポポにばかり乗っているからちょっと焼いているらしい。白虎の聖獣なのに威厳というものが全くない。聖獣に会うのは奇跡の様なものだと領主が話していたのに。


「ワールドマップだと邸の裏側にあるらしいぞ」


 長老が邸をぐるっと回って裏側へと出て行く。邸の裏側は林になっていた。どうやらその林の中に精霊樹があるらしい。だが、今度は普通の木が多い。見つけられるのか?


「ひぽ」

「ぶも」


 ヒポポが宙を浮いて先導していく。そして、やはりハルちゃんはヒポポに乗っている。そうなると白い奴が黙っていない。


「あたしが乗せるって言ったのにぃ~」

「しゅしゅ、帰りな」

「約束よ、ハルちゃん」

「おー」


 なんだかハルも少し面倒そうだ。


「シュシュ、別にいいじゃねーか」

「なによ、イオス。だっていつもあたしがハルちゃんを乗せていたのよ」

「ヒポポは今だけじゃねーか」

「あら、そうだったわ」


 なんだ、それを忘れていたのか? ヒポポは精霊樹を探す間だけの約束だ。全て終わったらおばば様のところに帰さなければならない。ヒポポが生まれた精霊樹と、これだけ離れているのも特別だ。本当はあり得ない事なのだ。


「あ、じーちゃん。ありぇら」

「ほう、また弱々しいな」


 林に少し入ったところに精霊樹はあった。また1本だけだ。そして、輝きも弱々しくなんとか輝いている様な感じがする。

 周りの木々に隠れてしまって、輝きさえも見落としてしまいそうだ。


「こはりゅ」

「はいなのれす。これもなのれす。ピュリフィケーションと、ヒールなのれす」

「よし。ぴゅりふぃけーしょん、ひーりゅ」


 ハルがそう詠唱すると、また白く輝く光が精霊樹を包み込み、ゆっくりと消えていった。


「こはりゅ、しぇいれいじゅの実をうえりゅか?」

「はいなのれす」


 コハルがまた自分の亜空間から精霊樹の実であるクリスタルのりんごを取り出す。今回も自然に地面へと吸い込まれていく。


「どんどん植えるなのれす」


 コハルがまた取り出しては地面に吸い込まれ。何度かそれを繰り返した。


「長老、お願いなのれす」

「分かったぞ」


 長老は魔法杖を取り出し、静かに詠唱する。


「ピュリフィケーション……ヒール」


 林全体に行き渡るかの様に、白く輝く光が下りてきて地面へと消えていった。彼方此方で精霊樹が芽吹き若木に育った。


「長老、他の木も元気になった様な気がするぞ」

「そうか?」

「ああ、やり過ぎじゃね? 葉が明らかに生き生きしているぞ」

「ワッハッハッハ。まあ多少はよかろう」


 長老、やり過ぎはよくないぞ。どんな影響があるのか分からないじゃないか。


「ちょっと成長する程度なのれす」


 まあ、その程度なら良しとするか。


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