表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

219/220

219ーヒポポ

「ひぽ、帰って来たじょ」

「ぶも!」


 ハルの亜空間からヒポポが元気よく出て来た。

 いつものお顔だけ出すのではなく、体全部で飛び出て来た。ヒポポの精霊樹があるおばば様の家に帰って来たんだ。

 そのままヒポポはおばば様の元へと走って行く。

 短い尻尾をフリフリとしながら。嬉しいのだろう。


「ヒポポ、お帰り。役に立ったかい?」

「ぶも」

「楽しかったかい?」

「ぶもぶも」


 勿論だと言いたそうに、頭を上下に動かしている。ぶもぶもと言いながら。

 おばば様がヒポポの首筋を撫でている。おばば様は精霊樹が見えない。

 ハルに言われて、庭先に精霊樹があるのだと知った。多分その場所は何か特別なのだろうと思ってはいたが、精霊樹がはっきりと見える訳ではない。

 そのおばば様が見る事ができて触る事もできるヒポポ。精霊獣の中では特別なのかも知れない。

 おばば様の気持ちも違うのかも知れない。


「おばばしゃま、ひぽがいてくりぇてよかったじょ」

「そうかい、そうかい。なら良かったよ」


 おばば様が優しい目でヒポポを見ている。


「城にいる精霊獣とヒポポしか見えないんだけどね、この子は特別なんだよ」


 おばば様が懐かしむような表情で話し出した。

 おばば様の旦那さんが亡くなった時の事らしい。そこに精霊樹があるとは知らずに、その樹下に旦那さんの遺骨の一部を埋めた。その精霊樹の精霊獣がヒポポだ。

 その頃からヒポポが姿を現すようになったらしい。


「あたしを慰めてくれていたのだと思うんだ」


 長年連れ添った旦那さんを、亡くしたばかりだったおばば様。ヒポポの存在は、喪失感と寂しい気持ちを癒すものだったのだろう。

 それからずっとヒポポは、おばば様に寄り添ってきたらしい。

 今回、初めて離れた。ハルの役に立ってほしいと、おばば様の気持ちだ。


「おばばしゃま、ありがちょ」

「ハルは良い子だね」


 おばば様が、優しくハルの頭を撫でながら頬をくっつける。ハルの薄い桜色したプクプクのほっぺに、愛おしそうに。

 おばば様にとっても、ハルは孫のようなものなのだろう。


「ヒポポ、おかえり」

「ぶも」


 そんな大切なヒポポを、預けてくれたんだ。無事に帰って来る事ができて良かった。

 精霊女王も見つけた事だし。


「さあさあ、入っとくれ。みんなで一緒に食事にしよう。ルシカ、手伝ってくれるかい?」

「はい、おばば様。もちろんですよ」

「おばば様、自分も手伝うで」

「そうかい、カエデも頼んだよ」


 おばば様の後を付いて、ルシカとカエデが家に入って行く。

 ハルは?


「ひぽ、のしぇて」

「ぶも」


 まだお外にいるらしい。ヒポポに乗って……乗ってといってもハルの足が届いていない。


「アハハハ。ハル、足が届いてないじゃないか」

「りひと、のしぇて」

「おう」


 リヒトにヒョイと抱き上げられ、ヒポポの背に乗るハル。

 何をするんだ? 爆走する程の広さはないぞ。


「ひぽのしぇいりぇいじゅの、しょばにいこう」

「ぶも」


 おばば様の家の前にある庭。裏庭では薬草や野菜を育てている。こっちの庭には花や低い木が植えられている。その中に小さな石碑の様な物が置いてある。

 そこがヒポポの精霊樹のある場所だ。おばば様が旦那さんの遺骨を持って来た時においた石碑だ。

 そんなに広い庭ではない。ヒポポに乗るほどでもないのに、ハルはヒポポに乗るという。少しでもヒポポと一緒にいたいとでも思っているのか。


「たらいま、帰ってきたじょ」

「ぶも」

「ひぽもげんきら」


 龍王達がハルを見ている。彼らは紅龍王から聞いて知っていた。

 そこにおばば様の旦那さんの分骨がある事を。


「おばば様がそんな事をしているなんて知らなかった」

「ランロン(青龍王)覚えているか?」

「いや、全然覚えていない。バイロン(白龍王)はどうなんだ?」

「私も覚えていないんだ」

「私は薄っすらと覚えている。でも顔までは思い出せない」

「ヘイロン(黒龍王)そうなのか?」

「確か、俺達が本当に小さかった頃だよな?」

「グウロン(黄龍王)そうだ」

「俺は全然覚えてない」

「ランロン(紅龍王)は一番小さかったからだ」


 見た目では5人の龍王は歳が変わらない様に見えるのだが、それでも歳の差はあるらしい。

 一番年上なのが、黒龍王。黄龍王、白龍王、青龍王、紅龍王の順だ。

 立派に育ったおばば様の孫達だ。

 ハルがその石碑の前でヒポポから降りて、手を合わせている。ハルちゃん元日本人だから、自然にそうしたのだろう。


「ハル、有難う」

「なんら? なんもしてねーじょ」

「いや、ここを覚えていてくれて、そうして敬意を払ってくれた事にだ」

「あちゃりまえら。おばばしゃまのらいじな人なんらから」

「ハルは良い子だ」


 龍王達もハルに倣い、黙祷をしている。

 

「ぶも」

「ひぽ、ありがちょな。たのしかったじょ」

「ぶもぅ」

「またあしょびに来りゅかりゃな」


 小さな手で、ヒポポをポンポンとしながらハルが話しかける。


「あたちもなのれす」


 コハルさんだ。ポンとヒポポの頭に乗って来た。

 今回の旅では、コハルとヒポポはずっと一緒にいた。ハルの亜空間の中で、仲良くしていたらしい。


「ありがとなのれす」

「ぶもぶも」


 コハルがハルよりずっと小さな手でヒポポの頭を撫でる。頭に乗っているのに。

 ハルがコハルとシュシュだけで、旅に出ようとしていた今回の精霊女王を探す旅。

 ヒポポを送り届けたら、本当に旅が終わる。


お読みいただき有難うございます!

そろそろ終わりますよ。今度こそ完結しましょう。

(多分^^;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ