214ーミッションコンプリート
「ハルちゃ~ん! もっと遊ぼうよー!」
と、ソニルがハルに抱きついていたが、コニーにバリッと引っ剥がされた。
「しょにりゅしゃん、また来りゅじょ」
精霊女王は精霊王に連れられ先に戻って行った。
ハル達もユニコーンに乗って帰るのだろう。
「ねえねえ、ミーレ。転移なの? 走って行かないの?」
「シュシュ、走ると何日も掛かるのよ」
「あら、そう? でも景色を見たくないかしら?」
「嫌ってほど見ているわよ」
見たいのはシュシュだけらしいぞ。
「しょにりゅしゃん、まったなー!」
と、あっけらかんとハルが手を振る。
転移でリヒトが管理するベースに戻って来た一行。
「ふゅ〜、おわったじょ!」
「ハル、まだだぞ」
「じーちゃん、らってしぇいれいじょうおーは、しぇいれいおーと帰ったじょ」
「ヒポポを送って行かないとな」
「あ、しょっか。ひぽ」
「ぶも」
呼ばれてハルの亜空間からまたお顔だけをヌッと出すヒポポ。
「ひぽ、ありがとうな」
「ぶもぉ」
「また会いにいくかりゃな」
「ぶも」
ヒポポはハル達と離れるのが寂しいらしい。
思えば最初からずっとヒポポは一緒にいた。一緒に各国を回った。
ヒポポが精霊獣と話をしてくれたから、精霊女王が来たかそうでないかが分かったんだ。
「おばばしゃまが待ってりゅじょ」
「ぶも」
そうだ、おばば様が待っている。皆の帰りを待っているぞ。
「先に城へ報告だ。それからヒポポを送って行こう」
「じーちゃん、分かったじょ」
ハルちゃんも名残惜しそうに、ヒポポの背を撫でる。まだ手の甲にエクボのある小さな手で、何度も何度も。
「ぶも」
「ひぽ、ありがとな。ありがと」
小さなハルちゃんが、大きなヒポポに抱きついた。なんだか悲しくなるではないか。
ヒポポの小さな尻尾が、ヒョコヒョコと揺れている。またいつでも会えるさ。
「ハル、もう眠いだろう?」
「りひと、ちょっちな」
「ハル、お昼寝しましょう」
「ん、みーりぇ」
ミーレに抱っこされると、直ぐに眠いお口になってしまうハルちゃん。
ムニャムニャとしているかと思うと、ふわ〜ッと大きな欠伸をした。
その後を白い奴が当たり前のように付いて行く。ヒポポもだ。
「ミーレ姐さん、自分も行くわ」
カエデもミーレの後を追う。
ハルの周りは、賑やかだ。また大きなシュシュの胸元で、小さく丸くなって眠るのだろう。
「長老、城へは明日の朝に行くか?」
「そうだな。ハルは昼寝の後はルシカのオヤツだと言うだろう?」
「確かに、そうだな」
「私はそのオヤツを用意しますね」
まさか最後に精霊王が自ら出てくるとは思わなかったが、精霊女王を探して連れ帰るというミッションはコンプリートだ。
あとは報告と、おばば様の元へ無事にヒポポを帰す。
「うめーな」
お昼寝から起きて、ルシカのオヤツを食べているハルちゃん。
「な、美味しいな。ルシカ兄さん、天才やわ」
「何言ってるんですか。普通のパウンドケーキですよ」
「けど、バナナ入ってるやん」
「いつもはドライフルーツを入れるのですが、今日はバナナを入れてみましたよ」
「うめーじょ」
「そうですか? 良かったです」
「ん、生クリームしゃいこうら」
ハルちゃん、生クリームなのかよ。今はバナナのパウンドケーキの話をしているのだよ。
「ふわっふわれ、とりょとりょら」
「バナナが柔らかく甘くなるでしょう?」
「うん、うめー。生クリームいっぱいのしぇたら、めっちゃうめーじょ」
また生クリームと言っている。ハルは好きだね。ほっぺに生クリームが付いているけど。
「美味しいなのれす」
「ぶもッ」
「ルシカ、もう無くなっちゃったわ」
「はいはい」
シュシュは一口が大きい。
コハルはほっぺを膨らませている。ヒポポも当たり前の様に食べている。
帰ったら、おばば様とも一緒に食べるのだろう。
「ハル、明日の朝に城へ報告に行って、それからおばば様のところへ向かおう」
「ん、じーちゃん。けろ、おりぇ城に行ったりゃ、ふぃーれんかとあしょぶじょ」
「そうか?」
「しょうら。亀しゃんに乗るんら」
ああ、また二人で亀さんに乗るらしい。城に棲みついた亀さんも聖獣なのだぞ。しかも水神様の使いらしい。
「ふぃーれんかと、約束してんら」
フィーリス殿下はハルのお友達だからね。
「精霊王にも会わないとだ」
「しょうか?」
「ああ、そうだな」
「ふ〜ん」
あまり興味はないらしい。モグモグとパウンドケーキを食べている。
「まあ、長老。そう急がなくてもいいだろう? うちの親もきっと暫くハルを離さないぞ」
「ああ、それもあったか」
と、いう事で翌日は1日エルヒューレ皇国らしい。
「ハァ~ルゥ~ッ! 待っていたのだぞーぅ!」
「ふぃーれんか! たらいまー!」
はいはい、城に行くと早速フィーリス殿下の登場だ。両手を振りながら走って来る。
皇子だというのに、威厳がない。その後ろには第1皇子のレオーギル殿下だ。
「長老、リヒト、皆ご苦労だったな」
「レオーギル殿下、無事に戻りました」
「ああ、父上が朝早くから待っている。ハルはまだかとな。アハハハ」
「有難い事です」
「じーちゃん、おりぇふぃーれんかとあしょぶじょ」
ハルはもう遊ぶ気満々だ。
お読みいただき有難うございます!
もう直ぐ完結するはずが、なかなか終わりません。
どうしましょう。^^;
あと少しだけお付き合いください。
宜しくお願いします!
 




