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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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207/220

207ーパーピの真実

 七頭のユニコーンが順に谷底へと降り立つ。

 そこだけ樹々が生えていなくて、丸い空間ができている。樹々が生えていない分、陽か射す。

 その陽に照らされる、ユニコーンの立派な角と白い体躯が輝いているように見える。流石、伝説のユニコーンだ。

 その谷底には薬草と花、その他の植物が繁殖していた。

 ここはきっと地下水が近いのかも知れない。近くに水源がある様には思えないが、そこに生えている樹々や植物が艶々としていて瑞々しい。


「きれーらな」

「おう、なんだか空気が違うような気がするな」

「リヒト、実際に違うんだ」


 長老がずっと神眼で見ている。

 ここに生息している薬草は、さっきソニルが話していたように状態異常を治すポーションに使われる薬草だ。その薬草は浄化の効果もある。

 その上、ここには精霊樹が生えている。

 なんと、10本の精霊樹が元気にキラキラと輝きながら生えていたんだ。

 サークルを描くように。まあるく輪になって生えていた。


「元気なのれす」


 いつの間にかコハルが出て来ている。


「ぶも」


 おや、ヒポポも出て来ていた。いつも呼ばれるまで大人しくハルの亜空間に入っているのに。


「ちょっと待って! コハルちゃん! 昨日のあれ! もう一回プニッてやって!」

「ソニル、何言ってんだ?」

「だから、僕達はもう見えないんだよ」


 ああ、なるほど。コハルさんの裏技だ。あの効果が切れているらしい。


「はいなのれす」


 コハルがソニルとコニーにプニッと手を当てた。


「おおーッ!」

「これはまた……素晴らしいですね!」


 この場所に何度か来た事のあった2人だ。まさかここに、こんなに何本も精霊樹があるなんて思いもしなかっただろう。

 いや、精霊樹自体が知られていなかった。


「僕達、精霊樹がある事を知らなかったし見えていなかったのに」


 何だろう?


「精霊樹を避けて動いていたみたいだ」

「ソニル様、本当ですね。不思議だ」


 薬草を採取する為にこの場所に来た時に、偶然なのかどうなのか2人は精霊樹の生えている場所には近寄っていなかったらしい。

 どうしてそんな事が分かるのだろう?


「目印をね、残してあるんだ。同じ場所でばかり採取しない様にね」

「ほう、ソニルもちゃんと考えているんだな」

「リヒトったら本当に酷いッ!」


 それは大自然を守り、見る事ができなくても精霊を敬ってきたエルフ族だからなのか?

 それとも、単純に偶然なのか?


「どこの国でも精霊樹を避けていた感があるぞ」

「じーちゃん、しょうらな」

「なんだ、ハルも気付いておったか?」

「あたりまえら」


 ふふん、と胸を張るハルちゃん。本当なのかな?


「らって歩く時も、しぇいれいじゅをよけてたんら。ふらふら~って」

「アハハハ、そうか。よく見ていたな」

「ふふふん」


 おやおや、本当に気付いていたらしい。

 不思議な事があるものだ。精霊樹の存在自体が不思議なのだけど。


「コハル、ここも必要ないな」

「ないなのれす。元気なのれす」

「じゃあ、ひぽ。呼び出してくりぇ」

「ぶも」


 ヒポポが一歩前に出た。そして、いつもの様に一鳴きする。


「ぶもぉッ」


 今回は精霊樹が10本もあるんだ。なんども言うが、10本だ。

 その精霊樹からブワッと一斉に出て来た精霊獣。

 色とりどりの蝶が舞う。その空間に花びらが舞っているように蝶が舞う。

 エルフ族が持っているパーピを覚えているだろうか。見た目がパーピに良く似ている。


「これは……もしや、そうなのか? コハル」

「はいなのれす。仲間なのれす」

「そうだったのか」


 長老は気付いた様だ。

 ハルが以前話していた。パーピも精霊と同じだと。精霊や精霊樹と同じ仲間らしい。

 精霊獣は自分が生まれた精霊樹の側から離れる事ができない。

 パーピは自分が契約したエルフ族から離れる事はない。

 エルフ族が持つ膨大な魔力。それをほんの少し分けてもらっているんだ。

 

「エルフ族はパーピと契約しているなのれす」

「そうだったのか」

「はいなのれす。契約できるエルフの元にパーピが生まれるなのれす」


 コハルさん、知っているならもっと早く言おう。いつもこんな感じだ。言えない事もあるのだろうが。


「おりぇ、パーピもってねーじょ」

「ハルにはあたちがいるなのれす」

「しょうらな」


 ほうほう、コハルちゃんがいるからパーピは必要ないという事らしい。

 なら、コハルも離れた場所にいる人に、瞬時に知らせたりできるのかな?

 聞くまでもなく、きっとできるのだろう。


「楽勝なのれす」


 だそうだ。万能なコハルさん。まだちびっ子なのに。

 さて、一斉に出てきた蝶の精霊獣。当然、ハル目掛けて飛んでくる。

 一体何匹いるのか分からない位の数だ。その蝶がみんな一斉にハル目掛けて飛んで来る。

 これはまた、ハルちゃん。


「ぶぶぶぶッ! らから、前がみえねー」

「アハハハ。ハルが蝶まみれになってるぞ」

「だめなのれす! 離れるなのれすよ!」


 コハルの声で、フワフワと離れていく蝶々達。

 何匹いて何色あるのだろう? それにどの蝶も元気だ。キラキラしている。

 この場所には、エルフ族以外が立ち入る事はないだろうしこれなら安心だ。


「ちょうちょ~ぅ、ちょうちょ~ぅ、なのはにと~ま~れ~♪」


 やっぱ歌うよね、ハルちゃん。

 お手々をフワフワ動かし、ついでにお尻もフリフリしている。

 いつも通り、カエデとヒポポも参加だ。カエデは尻尾をフリフリ、ヒポポも短い尻尾をフリフリしている。

 それよりも先に聞く事があるのだけども。


やっぱハルちゃんが好き❤️

挿絵(By みてみん)

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